「知らん!俺はそんなの知らんぞ!」の一点張り…43歳長女、自宅に届いた〈高級リゾートホテルの請求書〉で悟った「年商100億円」「78歳会社社長の父」の異変【弁護士の助言】
3.トラブルを防ぐために意識すべき点
以上では、マミさんの場合どのような法律上の対策を取れるかご説明させていただきました。しかし、ここで得た知識を頭ごなしにお父様や家族に伝えたところで、うまくいくとは限りません。相続問題において重要なのは「勘定」のみならず、「感情」にもしっかり配慮する必要があります。そのためにも、以下の点を意識してみるのがよいでしょう。 (1)本人の意思を尊重する 財産管理や相続の話を切り出す際には、お父様の自尊心やプライドに配慮し、「支援する」立場を強調することが重要です。今後どのように生きていきたいのか、時間を掛けてライフプランニングを一緒に考えていきましょう。 (2)家族間の事前合意 お父様の了解を得られましたら、今度は、関係者である家族にも話を進めなければなりません。遺言書や信託契約を作成する際、専門家を交えた家族会議を開き、お父様のみならず、お母様やお兄様を含む家族全員に意見を求めるとともに、作成した内容を共有し、合意を得ることが重要です。これにより、相続開始後のトラブルを未然に防ぐことができます。 (3)専門家への早期相談 上記の点は、言うは易く行うは難しというように、知識がないとなかなか進めることは難しいものです。弁護士等の相続に特化したトラブル予防の専門家と連携することで、法的手続の漏れを防ぎ、最適な解決策を講じることができます。
4. 実行すべきアクションプラン
いろいろとお話しいたしましたが、マミさんの場合、今後は以下の流れに沿って行動してみるのはいかがでしょうか。 (1)お父様の財産目録を作成 お父様とご家族の協力を得て、不動産、預貯金、有価証券、生命保険などの資産と債務をリストアップし、現状を把握します。 (2)専門家に相談 弁護士や税理士を交えた家族会議を開催し、全体のスケジュールを確定します。 (3)公正証書遺言の作成 相続税対策と円満相続のため公証役場で遺言書を作成し、遺言執行者を指定します。 (4)家族信託の導入 信託契約を作成し、不動産や金融資産(経営する会社の株式等)を信託財産として家族で管理する準備をします。 (5)任意後見契約の締結 財産管理契約と任意後見契約の公正証書を作成し、お父様の身上監護に備えます。
5. 最後に:家族全員が安心する未来を実現するために
相続や財産管理は複雑な問題ですが、早期に専門家と連携することで、家族全員が安心できる未来を築くことが可能です。特にマミさんの場合は、お父様が意思能力を保持している間に、家族会議や財産目録の作成などを進めることが重要です。心の平穏を確保するためにも、今すぐ専門家への相談を始めてみてはいかがでしょうか? ■参考サイト 「知っておきたい認知症の基本」 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html 板橋 晃平 弁護士
板橋 晃平