志ん朝師匠にあこがれて 江戸前でかっこよく 一番ひどかったのは談志師匠のコピー 話の肖像画 喜劇役者、劇団SET主宰・三宅裕司<8>
明大の学生は地方出身者が多い中で、私は神田神保町で生まれ育って江戸弁というか東京弁ができているので、そんなやつらに負けるわけがないと思いながらもやっていました。志ん朝師匠のまねをうまくできたのもそれがあると思うんです。
学園祭でたくさんの人に拍手してもらうのは気持ちよかったですよ。小さいころ、日本舞踊で経験してますから、そういう快感が忘れられなかったんですね。
でも、落語家になろうと思って落研に入ったわけではなく、失恋して寂しいから、仲間を求めてでしたから。経営学部なので、就職に有利だからゼミナールに入ったらどうか、と言われていたのですが、ゼミって全然面白くないんですよ。当たり前ですよね。
バンドと落語のほうが楽しいので、大学を出たら芝居の道へ進もうと思ったわけです。
《卒業の際、両親に「喜劇役者になりたいから5年だけメシを食わせてくれ」と頼み込んだ。意外にも、「1人くらいそんなのがいてもいい」と言われたという》
ちなみに「役者を目指すなら劇団に行ったほうがいいんじゃないですか」と言ってくれたのは、東京出身の私がおしんこへのしょうゆのかけ方をみっちり教えた富山出身の志の輔です。(聞き手 慶田久幸)
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