NHK、「旧ジャニ」の紅白出場枠を2組で調整か 増枠目指す旧ジャニ側と交渉難航で「折り合いがつかない」の声も
昨年の紅白は「ゼロ」
NHKは大晦日の夜に放送する「紅白歌合戦」の出場者について、旧ジャニーズ事務所勢(現スタートエンターテイメント社勢、以下スタート社勢)は2組で調整していることが、同局員たちへの取材で分かった。これに対し同社側は3、4組の出場を望んでいるという。お互いの立場と面子が掛かった話し合いが行われている。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】 【写真をみる】NHK紅白がなんとしても出場してほしい「大物ミュージシャン」 ***
旧ジャニーズ勢の昨年の「紅白」出場者はゼロ。創業者の故・ジャニー喜多川氏の性加害問題が国内外で激しく非難されたことなどから、同9月末以降はNHK全体で旧ジャニーズ勢の番組出演を停止したためである。 今年は「紅白」に旧ジャニーズ勢が帰って来る。ジャニーズ事務所の後継組織であるスタート社の所属アーティストの出演停止は10月16日に解除済みだ。「紅白」には2組出場で交渉が始まっている。 例年より少ないが、性加害の被害者への補償が完全には済んでいないこと、性加害問題にアレルギーが残る視聴者も想定されることなどから、妥当な数だと判断されたようだ。 一方でスタート社側は3、4組の出場を希望しているという。Snow ManやKing&Prince、SixTONES、なにわ男子ら出場に値するアーティストには事欠かないと考えているからだろう。 ほかにもスタート社が3、4組の出場を望む理由は考えられる。「紅白」は観ている人が減ったとはいえ、関東地区の個人視聴率は20%(世帯30%)を軽く超える。関東地区だけで800万人以上が観ていることになる。出場したアーティストの顔と名前、そして楽曲が広く知れ渡る。これ以上のプロモーションの機会はない。スタート社でなくても芸能事務所はなるべく多くの所属アーティストを「紅白」に出場させたいのである。 また、「紅白」は芸能事務所がファンやライバル芸能事務所に対し、自分たちの力を誇示できる場でもある。その意味でもやはり少しでも多くの所属アーティストを出したい。昨年は出場者がゼロだったスタート社の場合、その思いがことさら強いだろう。 2組に抑えたいNHKと3、4を期待するスタート社。どちらかが折れるしかない。制作畑のNHK職員は「数に隔たりがあるから簡単には折り合いがつかない」と読む。紅組と白組でそれぞれ20組強の出場アーティストが発表されるのは例年11月中旬だが、ギリギリまで折衝が続きそうだ。