追加緩和は厳しい状況 日銀が採るべき手段とは?
追加緩和が難しい場合の日銀の選択肢とは?
このように「金利」「量」「質」のいずれも追加緩和が難しい以上、日銀が採れる選択肢は「ガイダンスの強化」に限られます。ガイダンスとは端的にいえば「約束」です。本来は経済環境によって柔軟に変化するはずの金融政策を“縛る”ことによって、「どんなに景気が良くなっても金融緩和を続けますよ」というシグナルを送り、金融緩和の効果を高める狙いがあります。 そこで考えられるのは、YCC、すなわち長期金利の0%据え置きを約束することです。つまり「金利が上がらない安心感」を提供するわけです。約束の厳格度合いをどれほど強めるかなど難しい問題はありますが、こうしたコミットメントの強化は日銀が採用し得る数少ない(唯一の?)選択肢です。現時点で日銀の追加緩和が俎上に上がる可能性は限定的で、今後もそうした状況は基本的に想定していませんが、USD/JPYが100を大幅に割り込むなど日銀が最も避けたい事態に直面した場合は、事実上の追加緩和手段としてガイダンスの強化が浮上してくる可能性は否定できません。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。