「社会正義より経済」のトランプに多くの共感、バイデンの「トランプ支持者はゴミ」発言で足をすくわれるハリス
(国際ジャーナリスト・木村正人) ■ 「プエルトリコはゴミの浮遊島」 [ロンドン発]米大統領選の投票日が11月5日に迫ってきた。大統領選の予測で定評のある分析サイト「ファイブサーティエイト」(538、大統領を選出する選挙人の数)は共和党候補ドナルド・トランプ前大統領が民主党候補カマラ・ハリス副大統領を破る確率は51%と予測する。 【写真】バイデン大統領が「ゴミ」と呼んだ? 11月2日、アリゾナ州スコッツデールでの選挙イベントで、ドナルド・トランプ・ジュニアの演説を聞くトランプ元大統領の支持者たち 英誌エコノミストもトランプ氏が激戦7州のうちネバダ、ウィスコンシン、ミシガン3州を押さえ、ジョージア、ペンシルバニア両州で五分の戦いを繰り広げており、56%の確率で勝利すると予測する。米紙ニューヨーク・タイムズは激戦7州でトランプ氏は5勝2敗と分析する。 劣勢のハリス氏にとどめを刺しかねないオウンゴールを決めたのが高齢による失言が日常茶飯事化している81歳のジョー・バイデン大統領だ。10月29日夜、ラテン系支持者たちとのビデオ通話でトランプ支持者を「ゴミ」と呼んだという騒動が持ち上がった。 トランプ氏の選挙集会でコメディアンがプエルトリコを「ゴミの浮遊島」と呼んだのをバイデン氏が批判した際に失言は飛び出した。「私が目にするゴミは彼の支持者(his supporters)だけだ。ラテン系を悪者に仕立て上げる彼(his)のやり方は許せない」
■ 「トランプ支持者の半数はろくでなし」 ホワイトハウスはバイデン氏発言の全文を公開し、「supporters」は実際には「supporter's(joke)」だと説明。バイデン氏は、トランプ氏ではなく、コメディアンと彼のジョークについて言及したのだと苦しい釈明を強いられた。 トランプ氏は2016年の大統領選で民主党候補ヒラリー・クリントン元国務長官が「トランプ支持者の半数は私が『ろくでなしのカゴ』と呼んでいるものに分類できる」と発言して敗れたことと比較して、「ゴミとはもっとひどい」とあげつらった。 10年の英国総選挙でも時のゴードン・ブラウン首相(労働党)が欧州連合(EU)拡大に伴って激増した移民に不満を唱える女性有権者に対し「偏屈な女」と陰口を言ったことがマイクに拾われるハプニングがあった。有権者を悪く言う候補者は選挙に敗れるのが世の常だ。 米国はコロナ危機をきっかけに2021年4.7%、22年8.0%、23年4.1%、24年3.2%(推定)と4年連続で米連邦準備理事会(FRB)のインフレ目標(2%)を上回っている。累積だと4年間で21.5%のインフレだ。賃上げがない限り実に17.8%も購買力を失ったことになる。