少年犯罪を防ぐのは「厳罰」か「教育」か 相次ぐ少年法改正の背景は
4月11日、参院本会議で可決、成立しました。今月中には施行される見通しとされています。少年法はこれまでにも何度か改正されていますが、改正にはどんな背景があるのでしょうか。また、どのような懸念点が考えられるのでしょうか。
今回の改正でさらに「厳罰化」進む
今回の改正で、少年法はさらに「厳罰化が進んだ」と言われています(「適正化」という言葉が正しいという人もいます)。厳罰化と言われるのは次のような点です。 ■有期刑の上限引き上げ 刑期の上限に関して、少年法の量刑では、成人の場合は死刑を下すような罪の場合は「無期刑」にしなければならない、無期刑を下すような罪の場合は「10~15年の有期刑」にすることができると定められていました。改正法では、この有期刑の上限が20年にまで引き上げられました。 ■不定期刑の引き上げ 不定期刑とは、判決時に懲役年数を確定させず、〇年~〇年以下と幅を持たせた刑期を与え、その後の更生度によって処遇を決めることです。これまで不定期刑の長期の限度は10年、短期は5年でしたが、これがそれぞれ15年と10年に引き上げられました。 ■検察官の立ち会い 改正前は、検察官が関与する少年審判は殺人や強盗などの重大事件のみに限られていましたが、改正後、長期3年を超える罪にはすべて検察官が立ち会うこととなりました。これまで検察官が立ち会う事件は5.5%程度でしたが、今後は約80%以上となると予想されています。同様に、国選付添人が選任される事件の範囲も拡大しました。
2000年、2007年にも大きな改正
少年法は2000年と2007年にも大きな改正がなされています。それぞれの改正での主な変更点は次の通りです。 《2000年の改正》 刑事罰対象を「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げ。16歳以上の重大犯罪を原則として逆送すると定めた。 《2007年の改正》 少年院の年齢下限を「14歳」から「おおむね12歳」に引き下げ(少年院送致の年齢下限撤廃)。14歳未満でも警察による強制的な調査が可能に。 少年法の厳罰化が進んでいる背景にあるのは、神戸連続児童殺傷事件(1997年)、西鉄バスジャック事件(2000年)、長崎男児誘拐殺人事件(2003年)、山口女子高専生殺害事件(2006年)など、少年による重大事件が発生したことによる国民感情です。2007年の改正以降も、石巻3人殺傷事件(2010年)など、少年による重大事件は発生しています。少年事件が起こるたびに、「少年にも、犯した罪に見合った罰を与えるべき」という声が上がります。