【日本市況】株続落、債券は30年債入札好調で戻す-給与伸び円反発
キーエンスや日立製作所、東京エレクトロンが下げ、電気機器指数がTOPIXの下落寄与度トップ。主要顧客である中国の長鑫存儲技術(CXMT)が米政府の「中国軍事企業」リストに追加されたことを嫌気し、KOKUSAI ELECTRIC株も安い。
川崎汽船など海運株も下落。米港湾の労使協定暫定合意でストライキ突入によるコンテナ市況上昇への期待が剥落した。海運業指数は一時5.4%安と業種別で下落率トップとなった。
債券
債券相場は上昇。30年債利回りは10年以来の高水準の2.35%から入札後に低下に転じた。30年債入札では、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が20年11月以来の高水準となった。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「利回り水準がここまで上昇すると需要が喚起される。新発債だったことも大きい」とし、落札価格や応札倍率、テールとどれを見ても良い結果と指摘した。ただ、1月は超長期債の入札が続き、「米金利先高観もあるため、21日の40年債入札をこなせるめどが付かないと、金利の上昇や高止まりが続く可能性はある」と述べた。
入札結果によると、最低落札価格は99円90銭と、市場予想99円75銭を上回り、小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は2銭と、22年2月以来の小ささ。応札倍率は3.72倍に上昇した。
新発国債利回り(午後3時時点)
為替
東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=157円台後半に上昇。昨年11月の毎月勤労統計で基本給に相当する所定内給与が32年ぶりの高い伸びとなり、日本銀行の追加利上げの支援材料になるとの見方から買いが先行した。買い一巡後は10日に米雇用統計を控えて持ち高調整も入り、上げ幅を縮めた。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、毎月勤労統計に反応して円が買われた後は、時間外取引での米長期金利の低下や「株式市場の軟調な展開が円買い・ドル売りにつながった」と指摘。「金利が上昇した日本国債を買う動きもあるのではないか」との見方を示した。