キリン、ファンケルへのTOB成立-今後もM&Aは選択肢と社長
今回のTOBについて、北浜法律事務所の中嶋隆則弁護士は、「少なくとも外形的には公正さを担保するための手当は十分取られているように見える」とし、TOB価格が不正に形成された可能性は低いと指摘した。
過去の金額関係なし
2020年に伊藤忠商事がファミリーマートに対して行ったTOBを巡っては、成立後に米投資ファンドのRMBキャピタルや香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントが、東京地裁に価格決定の申し立てを行った。同地裁は23年に同TOB価格が「安すぎた」と判断した。
19年にキリンHDがファンケル株を約3割取得した際は、創業者らに1株あたり3270円支払ったが、価格の決定が司法に委ねられたとしても、中嶋氏は「裁判所が公正な価格を判断する際に、過去の買収額を考慮する可能性は低いだろう」と述べた。株式価値の算定ではディスカウントキャッシュフロー方式(DCF法)で導かれる本源的価値が最も重要で、過去の買収額は関係ないという。
仮に株式買取請求権を行使して株主に訴えられた場合、裁判には数年かかる見込みだ。リーガルコストなどを考慮し、訴えた株主にだけ対価を上乗せして支払うことは法律的に可能だ。
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Eddy Duan