国の年金例「標準夫婦」は令和の今も専業主婦世帯。共働きなら年金いくらになる?
厚生労働省は、年金額の目安として「標準的な夫婦」の年金額を示しています。2024年1月19日にも最新の例が公表されました。 【年金の一覧表】2024年度の夫婦の年金額が公表!でもこれって専業主婦世帯を想定してるって本当? ただし、実はこれは主に「専業主婦(主夫)」を想定した年金受取額です。 専業主婦世帯よりも共働き世帯が上回る昨今。その年金事情は大きく異なることが予想できます。 そこで今回は、共働き夫婦の年金額を試算してみました。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
標準的な夫婦の年金額は専業主婦が前提となっている
厚生労働省が2024年1月19日に改定した年金額の改定をみると、標準的な夫婦の年金額は厚生年金で月額23万円程度、国民年金はひとり6万8000円となります。 ※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万7808円(対前年度比+1758円)です。 ※2 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で 40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。 ただし、この厚生年金の金額は専業主婦(主夫)を想定した金額となっています。 すなわち、家族の内ひとりが平均標準報酬の収入を得ており、もう一人はとくに収入がない状態での仮定です。 共働きの場合は金額が変わる可能性がある点に注意しましょう。
共働き世帯の年金受給額のシミュレーション
厚生労働省の「公的年金シミュレーター」では、年収や労働期間などをもとに年金額をシミュレーションできます。 ちなみに計算式は次の通りやや複雑です。 今回は1980年生まれの想定で試算していますので「50歳未満」の計算方法を参照しています。 ●老齢基礎年金の計算式 (78万900円(基礎年金満額) × 1.018(年金額改定率) × 基礎期間月数 / 480 )+ (200 ×付加保険料納付済月数) ●老齢厚生年金の計算式 (厚生年金期間の平均標準報酬(月)額× 厚生年金期間月数) × 0.005481(給付乗率)+経過的加算部分 ●合計額のシミュレーション 今回は1980年1月1日生まれ、大卒新卒を想定して23歳から65歳まで働いたケースで試算します。 なお受給開始年齢は繰上げ・繰下げなしの65歳からとします。 まず、平均標準報酬43万9000円を二人で稼いだ場合を考えてみましょう。 43万9000円は年収526万8000円になるため、一人あたり263万4000円です。 厚生労働省の「公的年金シミュレーター」は整数計算しかできないので264万円とすると、受給額は年間ひとり144万円となります。 もし、夫婦共働きなら288万円で、月額に直すと24万円となります。 年収は同じですが、わずかに厚生労働省の定める「標準的な夫婦」よりも受給額は多くなる見込みです。 つづいて、共働きでそれぞれが平均標準報酬43万9000円を稼ぐケースを試算しました。 ひとりの年収を527万円と試算すると、ひとりの年間受給額が203万円です。 二人で406万円となるため、世帯全体の受給額は月33万8333円まで増えます。 共働きでそれぞれが標準的な収入を得れば、世帯年収が増える分年金額も増加するのです。