日本時間の5日早朝、南米パラグアイで開かれていたのは、ユネスコの政府間委員会。 出席した日本代表団が飲んでいたのは、お酒です。 その味を生み出す日本の“伝統的酒造り”が新たに、人々が守り伝えてきた貴重な文化財、無形文化遺産に登録されることを願い、発表の時を今か今かと待ちわびていたのです。 これまでも和食や和紙など、日本の貴重な文化が登録されてきた無形文化遺産。 会場では各国が自慢の伝統文化をアピールしていて、今回はタイのトムヤムクンも登録されました。 そうした中、日本代表団にも待望の瞬間が訪れました。 日本が誇る「伝統的酒造り」が登録され、日本では23件目の無形文化遺産となることが決まりました。 日本中、各地で待ちわびていた酒職人たちも大喜び。 世界からメード・イン・ジャパンの「SAKE」が認められました。 穀物を原料とするこうじ菌を用いた、日本の伝統的酒造り。 国内各地の気候に合わせ、職人たちが技術を磨き上げながら、日本酒や焼酎などの伝統製法として受け継がれてきました。 今回の登録決定を受け、東京駅前で行われていたのは“食べる祝賀サービス”です。 店の前には多くの客が詰めかけていました。 日本酒の魅力を、お酒が苦手な人にも伝えたいと生まれた日本酒アイス。 おちょこ1.5杯分の日本酒が入っていて、今回の登録を記念して無料でふるまわれました。 では一体、無形文化遺産に登録されると、どのようなメリットがあるのでしょうか? 専門家によると、海外で「SAKE」がはやることで日本の酒蔵を訪れる人が増えれば、地域の活性化にもつながるといいます。 一方で、酒造りの担い手不足は大きな課題です。 独立行政法人 酒類総合研究所・阿久津武広副部門長: やはり厳しい世界なので、なかなか若い人が入ってきてくれない。酒造りできると同時に、家族もって子育てもちゃんと家に帰って“いいお父さん”できるためには、ある程度自動化っていうのは進めなきゃいけない課題。 また、世界から注目されることで、外国人による爆買いや価格の高騰も起きないとも限りません。 加えて専門家は、日本酒をよく理解していない一部の外国人の手によって“偽SAKE”が出回ることを危惧しています。 これまで以上に世界を酔わせそうな、日本の酒。 本物の魅力を正しく発信していくことが求められます。