[MOM4960]G大阪ユースFW安藤陸登(3年)_戦列復帰後は公式戦5戦連発!「レジェンド」の薫陶を受けた9番を背負う青黒のストライカー、覚醒中!
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] [12.6 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 G大阪ユース 2-1 高川学園高 Balcom BMW広島総合グランド] 【写真】「えげつない爆美女」「初めて見た」「美人にも程がある」元日本代表GKの妻がピッチ登場 自信がなければ、このピッチになんて立っていない。自信がなければ、9番なんて背負っていない。ゴールを挙げることで示し続けてきた自らの価値を、アカデミー最後の重要なステージで必ずもっと高めてみせる。 「ガンバには今までジュニアユースから6年間育ててもらった恩があるので、最後にプレミアに昇格して恩返ししたいですし、プレミアの舞台を後輩に残せたらいいかなと思っています」。 3年ぶりのプレミア復帰に燃えるガンバ大阪ユース(関西1、大阪)のラストピース。FW安藤陸登(3年=ガンバ大阪ジュニアユース出身)が大一番で解き放った得点感覚が、大事な勝利を鮮やかに手繰り寄せた。 G大阪ユースは苦しんでいた。負ければ終わりの一発勝負。プレミアリーグプレーオフ1回戦。「高川も頑張ってくるチームで、ロングボールとかセットプレーの対策はしていたんですけど、結構苦戦しましたね」と安藤も振り返ったように、シンプルに力強く押し込んでくる高川学園高(中国2、山口)の勢いをまともに受ける格好となったチームは、なかなか自分たちのリズムを引き寄せ切れず、ジリジリとした展開を強いられる。 前半32分。9番にファーストチャンスが訪れる。左サイドバックのDF加地莉比斗(3年)がボールを持つと、一瞬でイメージは共有される。「センターバックの間に結構スペースがあったので、そこにポジションを取って、加地選手がボールを蹴れる瞬間に体勢を作って動き出そうと思っていました」。タイミングもばっちり。スルーパスに単騎で抜け出す。 GKとの1対1。安藤は極めて落ち着いていた。「抜け出した後は、わざと外に行ってキーパーの位置をずらして、左足でファーに流し込むといったイメージでした。だいぶ冷静に見えていましたね」。左足で打ち切ったボールは、右スミのゴールネットへ転がり込む。1-0。G大阪ユースに先制点がもたらされる。 それでも試合はそう簡単に終わらない。後半開始早々の5分。高川学園はショートコーナーの流れから、綺麗なクロスを綺麗なヘディングで仕留め切る。「セットプレーは注意していたんですけど、きっちりやられましたね」とチームを率いる町中大輔監督も脱帽の同点弾。リードは一瞬で霧散した。 後半28分。9番にセカンドチャンスが訪れる。ここも加地がボールを持つと、再び一瞬でイメージは共有される。「ハーフタイムに監督から『もうちょっと裏に抜け出してもいいよ』と言われていて、ちょうどまた加地選手がフリーで持ち出したので、いつも練習している通りに抜け出しました」。 GKとの1対1。ここも安藤は極めて落ち着いていた。「最初は普通にシュートを打とうと思ったんですけど、キーパーがちょっと前に出てきていたので、シュートのタイミングをずらして、ループシュートを打ちました」。左足で浮かせたボールは、ゆっくりとゴールネットへ吸い込まれる。2-1。G大阪ユースに勝ち越し点が記録される。 そのアイデアは“レジェンド”によってもたされたものだという。「昔はあまりああいうイメージは持っていなかったんですけど、1,2年の時に大黒将志ストライカーコーチから『キーパーをちゃんと見て、ループシュートで決めろ』と言われていましたし、実際に大黒さんのシュートも見て、学んだところはありましたね」。 結果的に安藤が叩き出したチーム2点目は、そのままこの試合の決勝ゴールに。「ゴール前でボールを持てたら強みが出るというか、ああいうゴールシーンのように裏へ抜け出すスピードは魅力的だと思いますね」と指揮官も認める特徴を生かし切った9番が、自らの結果で苦しむチームを救ってみせた。 今年の7月に開催されたクラブユース選手権。G大阪ユースは堂々と連覇を飾ったが、安藤はハムストリングのケガで負傷離脱を強いられていた。もちろん日本一に貢献できなかった悔しさはありながらも、一方で1年前の自分と同じような想いを背負って戦ったと聞いた後輩たちに、頼もしさを感じていたという。 「去年の優勝の時は自分も2年生で試合に出ていたんですけど、3年生のエースの日笠蓮康くん(関西大)がケガで出ていなかったので、その人の分も頑張ろうという気持ちで戦っていました。今回は3年生になった僕が出られなくなった時に、2年生の中積(爲)くんとか久永(虎次郎)くんもそういう気持ちでやっていたと聞いたので、それは嬉しかったですね」。 だからこそ自分がピッチに立つからには、ベンチに回った選手のためにも結果を出し続けるしかない。戦線復帰してからのプリンスリーグ関西では圧巻の4戦連発をマークし、この日の得点で公式戦では5試合連続ゴール。「夏の期間はチームに全然貢献できなかったので、復帰してからのプリンスとプレミアプレーオフは少しでも貢献しようと頑張っている感じですね」。高いモチベーションを確かな結果に結び付けている。 いよいよ迎えるのはアカデミーラストマッチ。相手は難敵の横浜F・マリノスユース。プレミアリーグ復帰のためには勝利だけが求められる、いたってシンプルな一戦に向けて、安藤はきっぱりと言い切った。「もう集大成の試合なので、自分としてはもちろん点も獲りたいですし、ガンバとしては自分たちのプレースタイルを貫いて、試合を支配して、マリノスを圧倒して勝ちたいです」。 シーズン最終盤に帰ってきた、G大阪ユースが誇る背番号9のストライカー。目指すは6試合連続ゴールと、その先にある集大成の歓喜。ようやく覚醒した安藤の勢いは、きっともう最後まで止まらない。 (取材・文 土屋雅史)
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