自宅は長男が、銀行預金は二男が相続…兄弟間で揉めない「完璧な遺産分割協議書の中身」【弁護士が解説】
「相続放棄」をした人がいる場合は必要な書類が増える
相続人全員の印鑑証明書 遺産分割協議書は、相続人全員の印鑑証明書とセットで使用することが原則です。なぜなら、印鑑証明書があることで、遺産分割協議書に押した印が実印であることの証明ができるためです。印鑑証明書を代理で取得するには印鑑登録カードなどを預かることになるため、よほど信頼している同居の家族などでない限り、代理での取得は難しいでしょう。 そのため、印鑑証明書は各相続人に取得してもらったうえで、遺産分割協議書への押印時に預かるようにするとスムーズです。印鑑証明書の取得費用は市区町村によって異なりますが、1通200円から400円程度であることが一般的です。 相続人全員の戸籍謄本 相続人が生存していることを確認するため、相続人全員の戸籍謄本が必要です。戸籍謄本の取得費用は、1通450円です。 被相続人の住民票除票 被相続人の最後の住所を確認するため、被相続人の除票が必要です。除票は、被相続人の最後の住所地を管轄する市区町村役場で取得できます。取得手数料は市区町村によって異なりますが、1通200円から400円程度です。 相続放棄をした人がいる場合は相続放棄受理証明書 相続放棄をした人がいる場合は、その者についての相続放棄受理証明書が必要です。相続放棄とは、相続開始後一定期間内(原則として3ヵ月以内)に家庭裁判所に申述することで、はじめから相続人ではなかったことになる手続きです。 正式に相続放棄をした者はもはや相続人ではないことから、遺産分割協議に参加する必要もなければ、遺産分割協議書に署名や押印をもらう必要もありません。その代わり、本当に相続放棄が受理されたことを確認するため、相続放棄受理証明書が必要となります。相続放棄受理証明書は相続放棄をした者が取得して送ってくれることもありますが、家庭裁判所へ請求することで、ほかの相続人が取り寄せることもできます。 財産の特定書類 遺産分割協議書は作成後、遺産の解約や名義変更などの手続きに使用します。そのため、財産を特定したうえで、それぞれの財産を誰が取得することになったのか明確に記載しなければなりません。財産を明確に記載するため、遺産分割協議書に記載する遺産の種類に応じて次の書類などが必要です。 ・不動産:全部事項証明書(法務局で取得)、固定資産税課税明細書 ・預貯金:預貯金通帳または残高証明書 ・有価証券:残高証明書 ・車:車検証