Amazonのオーディブルに加入する価値は本当にある? オーディオブック聴き放題に意味はあるのか
オーディオブックに「読書効果」は本当にあるのか
「聴く読書」はナレーションばかりが先に進み、少し巻き戻して聴くということがしづらいので、内容が頭に残らないことも多いという欠点があります。オーディオブックには「読書効果」は本当にあるのでしょうか。 この点については、様々な研究が存在しています。たとえば2016年には、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス・ロゴウスキ氏が研究を行っています。その研究は同じ書籍を3つのグループに異なる方法でインプットさせ、読書効果に差があるのか検証するもの。以下の3通りのインプット方法が実行されました。 ・本をオーディオブックで聴く ・本を電子書籍で読む ・オーディオブックを聴きながら本も目で追う 結論から言えば、3つのグループの読書効果には大きな有意差は存在しなかったとのことです。 一方で2010年にジェームズ・マディソン大学のデイヴィッド・ダニエル氏が行った研究では「オーディオブックによる講義を聴いたグループ」「紙の本を読んだグループ」で学習効果を比較すると、紙の本のほうがはるかに学習効果が高かったとのこと。 この2つの研究を照らし合わせると「電子書籍とオーディオブックでは学習効果に差がないが、紙の本とオーディオブックには大きな差がある」と言えるかもしれません。
オーディオブックは「働いていると本が読めない」問題への1つの回答ではある
もっともビジネスパーソンのほうなどにとっては「紙の本を持ち歩くこと自体が負担」というケースはしばしばあります。本はかさばるうえに重く、またスマートフォンのほうが「本を読みつつ、メールが来たらそちらを開く」といった柔軟性があるためです。 このようになかなか読書に集中できない状況にある方にとっては、オーディオブックは「働いていると本が読めない問題」への1つの回答にはなりえるかもしれません。 たとえば通勤電車の中でオーディブルで「聴く読書」をし、流し聞きをしながら面白いと思った箇所だけはブックマークをしたうえでメモするというのは良い習慣です。本のテキストをだらだらと目で追うのはアウトプットの要素がないため、人によっては退屈に思えるものです。一方でブックマークとメモを繰り返すのはアウトプットの要素があるため、メモ内容が記憶に残りやすいです。加えて基本的にながら聞きでかまわないため、移動中や食事休憩中の習慣に適しています。 一方で「学習効果」に関して言えば、紙の本に対する優位性があるかと言えば微妙です。またオーディブルにはテキストが付随しないため、専門書などの読書に向くかと言えば微妙な部分もあります。固有名詞や専門用語が多い本などを読むのであれば、Kindle本と読み上げ機能を駆使し、分からない点だけKindleで読み返すほうが適しているかもしれません。
オトナライフ