投資家は人気の新興国債券の取引あきらめず-米金利先高観で打撃でも
(ブルームバーグ): 年初に人気だった新興国市場の債券への賭けについて、マネーマネジャーらは今年5カ月目に入りこの取引が低調となった現在でも姿勢を変えていない。
新興国市場の現地通貨建て債券は、米金利が「より高くより長く」維持されるとの観測やドル高によって打撃を受けている。ブルームバーグの現地通貨建て新興国債券の指数は年初来で1.1%下落しているが、ハードカレンシー建て新興国債券の指標は1.2%上昇しており、両指標の比率は2年ぶり低水準に近づいている。
しかし、1月に現地通貨建て新興国債券に「一世一代」のチャンスがあると指摘していたグランサム・マヨ・バン・オッタールー(GMO)のビクトリア・クルム氏にとって、この取引は死に体から程遠い。それどころか、以前よりも魅力的になっているという。米利下げ観測の後退で、新興国の中央銀行が金融緩和の延期やペースダウンを余儀なくされていることで、インフレ調整後の実質金利が上昇し、投資家により良い利回りが提供されていると、同氏は主張する。
「金利はなお非常に高く、米国の実質利回りとの差はさらに広がっている」と同氏は指摘し、「実際のところ、新興国の金利はより魅力的に見える」と述べた。
新興国の金融当局による方針変更は、先週に明確になった。ブラジル中銀は政策金利の0.25ポイント引き下げを決定し、前回までの6会合連続の0.5ポイント利下げから金融緩和ペースを落とした。3月に利下げしたメキシコ中銀は今回、金利を据え置いた。マレーシア中銀も金利据え置きを決定。米国の高金利が長期化する可能性に備える中、市場のボラティリティー上昇によるリスクを理由に挙げた。
投資家が見いだしたドル高再燃をヘッジしながら現地通貨建て新興国債券に賭ける方法は、全面的に投資するのではなく、場所を選別することだ。JPモルガン・チェースは、メキシコやブラジルのような流動性の高い市場や、エジプトやトルコのような利回りが魅力的なフロンティア諸国を選好している。