金利上昇局面の財政規律へ、債務残高対GDP比削減計画を-林官房長官
(ブルームバーグ): 林芳正官房長官は、金利上昇局面に入る中でも日本国債への信認を維持するため、「債務残高対GDP比」を安定的に引き下げていく計画を定めるべきだとの考えを明らかにした。
林氏は5日のインタビューで、金融政策が正常化に動く中、「最後は日本銀行が国債を買ってくれる」との姿勢ではいられないとし、今後は「国債の信認を意識することは今まで以上に重要になる」と指摘。2025年度の達成も見込まれる基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化後は、「放漫財政にならない政府の意思」を明示する必要があるとの認識を示した。
7月に実質賃金が2カ月連続でプラスになった流れを「確実にして、その先にマインドを定着させたい」とも語り、成長戦略につながる分野のほか、災害対応、社会保障などに機動的に財政出動を行っていく必要性も強調した。
過去最多の7人以上が出馬する見通しの総裁選では、経済財政政策も争点となる。林氏は、金利上昇局面でも財政に配慮した政権運営を目指す姿勢を鮮明にした形だ。河野太郎デジタル相も財政規律を重視する一方で、小林鷹之前経済安全保障担当相は「経済は財政に優先する」と発言。茂木敏充幹事長は「増税ゼロ」を目指し、防衛増税などを停止する方針を掲げている。
日本の債務残高はGDPの2倍を超えた257%となっており、世界的に最も高い水準にある。金利が上昇すると国債の利払い費も増加し、必要な政策に使える予算は減少する。財務省によると普通国債残高は、24年度末には1105兆円に上る見込みだ。
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Yuki Hagiwara, Erica Yokoyama