岩手県地域チーズ協議会設立に向けた準備会 異なる分野で協力しながら
岩手県内のチーズ工房などが参加する「岩手県チーズ協議会」の設立に向けた準備会が12月13日、盛岡地域交流センター「マリオス」で(盛岡市盛岡駅西通2)で行われた。(盛岡経済新聞) 主催したのは国産ナチュラルチーズを製造する工房が参加する「日本チーズ協会」。同協会は独立行政法人農畜産業振興機構による国産チーズ競争力強化対策事業の一環として、地域で統一したレシピによるチーズ製造やブランド化、販路拡大などに取り組む「地域チーズ協議会」の設立を進めている。現在は岩手のほか、北海道の十勝と中標津の3地域で設立に向けた準備を行っている。 岩手地域チーズ協議会は県内のチーズ工房など3事業者が中心となって2月から設立に向けた活動を始め、2025年度の設立を目指している。県内には日本酒の製造を行うメーカーが多いことから、日本酒に合う共通チーズの製造を目標に先進事例の紹介や意見交換を行う準備会を開いた。 「チーズハウスくずまき」の工場長・打田内茂さんは「県内にはチーズ工房が点在し、それぞれが良い商品を作っている。一緒に何かできないのかと考えてきた。それぞれの立場の意見を取り入れながら、岩手のチーズを盛り上げたい」と話す。 盛岡市内でチーズやジェラートを製造する「たまやま温泉Lab」の一ノ渡渉さんは「チーズの需要は高まっているが、乳製品はソフトクリームやジェラートの方が手に取ってもらいやすいのが現状。酪農やチーズ作り以外の他分野と連携することで、岩手のチーズをもっと広めたい」と意気込む。 当日はチーズ工房や酪農家、酒造メーカー、市や県の担当者などが参加。十勝地域チーズ協議会の発足準備に取り組む寺尾智也さんと、こうじ菌を使ったチーズを開発した日本獣医生命科学大学の佐藤薫教授を講師に招いて事例紹介を行った。 寺尾さんは「十勝では地域ブランドは今更必要ないという厳しい意見もあった。国内のチーズ工房の数もチーズの消費量も増加傾向にある一方、それぞれの工房の生産量は少なく、販路の拡大も課題となっている。複数の工房が共同で統一レシピを使ってチーズを作ることで生産量を確保できる。共通チーズの製造だけがゴールではない。工房同士の連携で実現できることは多くあり、協議会に加わる全員の気持ちが一致することが大切」と参加者に伝えた。 後半の意見交換では、こうじ菌を使って熟成したチーズの開発に関する疑問や、他分野との連携について意見が出された。今後は2024年度中に勉強会を行う予定。
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