「一番力のないDeNAだからこそ、一番優勝のチャンスもある」初代監督・中畑清が12年前に予言していた「日本一へのシナリオ」
引き継がれていった夢のバトン
熱血指揮官が加わり、新たな《DeNA》が組み込まれた新生ベイスターズ。若いチームを一気に活性化させるため、中畑はあくまで《元気》で勝負することを決めた。 「自分自身も成長することによって結果がついてくると思う。長嶋さんだけじゃなくお世話になったすべての監督がお手本で、特に藤田(元司)さんのチームの隅々まで目配り気配りするところは、強い影響を受けている。もちろん、王(貞治)さんのデータ活用術も勉強になったし、駒澤大時代の太田(誠)さんからも学んだことはたくさんある。 みなさんからいいとこ取りをして自分のオリジナリティを作っていきたいね。ただし、そういう面は表に出さないでいこうと思っているんだ。スタッフそれぞれの役割分担があるからね。俺はずっとはしゃいでいればいいんじゃないかな。 今までに築き上げてきた中畑清のすべてをこのチャンスにぶつけていきたい。ぶつけて勝負してみて、答えがどうなるかを自分で見てみたい。そして、それが認められていけば、野球界がちょっと変わるんじゃないかなと思う」 1年目の目標は4年連続最下位からの脱出。2年目の目標はクライマックスシリーズ進出、そして――。 「3年目には優勝を目指してるよ。でも、オレ、2年契約なんだ(笑)。その間になんとかしてみせるよ。さあ、元気出していこうぜ!」 12年前のインタビューはここで幕を閉じる。中畑自身は監督を務めた2015年までの4年間で優勝という夢を実現することはなかった。しかしそこから、ラミレス、そして三浦大輔へとバトンは引き継がれ、2024年、夢は現実のものとなった。 奇跡でも何でもない。DeNAの日本一は、積み重ねてきた努力が実を結んだ「必然」だったのかもしれない。 ※この記事のインタビュー全文は『週刊現代 2012年 2月18日号』「愛すべきオッサン 中畑清 元気出していこうぜ」(取材・文/鷲崎文彦)を再編集したものです。
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