NHKのネット配信「必須業務化」正式決定。“ネット受信料”など詳細は検討中
NHKのインターネット配信活動を“必須業務化”することを盛り込んだ放送法改正案が、国会で議決され正式に成立した。 番組配信を始めとするNHKのインターネット活用業務は、現在「任意業務」となっているが、これを「必須業務」に変更するよう、総務省が改正案を提出していた。その法案が、3月の閣議決定を経て、今国会で正式に可決された格好だ。 今回の改正案は、NHKが番組をインターネットで配信することを必須業務化するという点が主な内容。これにより、テレビを所有していない人でもNHKと受信契約を締結できるようにし、スマートフォンやパソコンを通じてNHKの番組をインターネット配信で視聴できるようにする。 NHKでは、改正法の成立を受けて「この必須業務化は、任意業務だったNHKのインターネットによるサービスが、放送と同じ情報内容や同じ価値を提供し、受信料を頂くという、これまでより高い位置づけになることだと受け止めている」とコメント。いわゆる“ネット受信料”の徴収にも言及した。 なお、テレビで受信契約を結んでいればネット視聴に関して追加の費用は発生しない。一方、テレビを持っておらずスマートフォンやパソコンで番組配信を視聴したい場合には受信料が必要になる。 ただし、NHKでは「スマホやPCなどを持っているだけでは負担の対象にはならない」とあらためてアナウンス。「改正法では、例えば、アプリのダウンロードやIDの取得などの一定の操作を行って、配信を受け始めた方を対象としている」とし、その詳細についてはNHKにおいて検討を進めている最中だと説明した。 そして、「必須業務のスタートに向けては、サービス内容、受信契約、配信方法、競争評価など、様々な課題があるが、国会での審議内容も踏まえ、検討を急ぎ、着実に準備を進めていく」とコメント。 「インターネット上においても、安全安心を支え、あまねく伝えることで、健全な民主主義の発達に資するという、公共的な役割を果たしていきたいと考えている」とし、「同時に、正確で信頼できる情報を発信する担い手として、民間報奨事業者や新聞社、そしてNHKといったメディアの多元性を確保しながら、常に信頼される情報やコンテンツを提供するという、『情報空間の参照点』の役割を果たしていきたい」とした。
編集部:小野佳希