あの“鬼コーチ”エディー・ジョーンズが…優しくなった!? 9年ぶり日本代表HC復帰で「怖かった。ダメばかり言われた」頃から何が変わった?
かつては「グラウンドから出て行け!」と一喝も…
記者も以前は選手を叱責するエディーの姿を何度か目撃した。2015年のワールドカップに向けた宮崎合宿の最中には、福岡堅樹や内田啓介が「グラウンドから出て行け!」「帰れ!」と一喝される現場にも居合わせた。選手を追い込むことで覚醒を促す手法は、強引だが確かな効力を持っていた。それは2015年ワールドカップ初戦の南アフリカ撃破へとつながり、そこから日本代表は2019年の8強進出へと躍進を続けた。だが今は違う。 「12年前よりも選手の学ぶ力が上がっている。リーグワンでワールドクラスのコーチングを受けているからだろう」とエディーは話す。選手の理解力が高まり、怒鳴る必要がなくなった分、選手にはより高いレベルを要求する――日本ラグビーが次の段階に進んだのだ。 「ミーティングが変わりました」と言ったのはリーチだ。 「椅子を半円に並べて座って、みんなの視線が真ん中に集まるようにする。エディーの話から始めるんじゃなく、ダン・ボーデン(アシスタントコーチ)やニール・ハットリー(コーチングコーディネーター)から具体的なことを話して、エディーが最後に締める。エディーの言葉は量が少なくなった分、より頭に入ってくる」 大学生で代表入りしたHO佐藤健次(早大4年)が驚いたのはミーティングのスピード感だ。 「ミーティングの進み方が速くて、選手に常に考えることを要求する。毎回選手にあててくるし、ちゃんと聞いて考えていないとついていけない」
大学生ら若手選手を「積極登用」
その佐藤をはじめとする若手登用もエディージャパンの特徴だ。2月のリーグワン休止期間に福岡で行ったトレーニングスコッド合宿には8人の大学生(追加招集でさらに1名)を招集。近未来の日本FWを担うと期待される青木恵斗(帝京大)や石橋チューカ(京産大)がリーチマイケルや姫野和樹とのコンタクトを経験する機会を得た。 5月に菅平で行った同合宿にも大学生8人(+追加招集1人)を集め、そこから佐藤とPR森山飛翔(帝京大2年)が日本代表で、FB矢崎由高(早大2年)も練習生として宮崎合宿に参加。矢崎も宮崎入り後は実質的な代表メンバーに「昇格」した。 菅平には2カ月前まで高校生だったFL福田大和(帝京大1年)、追加でWTB小野澤謙真(慶大1年)も招集していた。合宿最終日の練習マッチで良いパフォーマンスを見せた小野澤は、宮崎合宿中に行われたジャパンタレントスコッド(JTS)プログラム第2回練習会に招集された。リーチマイケル、田中史朗を講師に招いて経験を伝え、エディーHC自身も熱弁を振るい、次代の代表を担う自覚と成長を強く促した。 そもそも、6月11日に実現した日本代表とU20との合同練習は史上初の試みだった。 田中史朗は「最高の機会」と唸り、リーチマイケルは「僕もU20のとき(日本代表HCだった)ジョン・カーワンに見て欲しかった」といまの若手をうらやんだ。 「佐藤を見ていると若いときの堀江翔太を思い出す。矢崎はFBとWTBの両方で才能がある。小野澤の父(※日本代表のWTB/FBとして活躍した宏時さん)は私がコーチできた中でも名誉を感じるような偉大な選手で、その子を指導していると思うと特別な感情が湧いてくる。息子も足捌きなどに父譲りの良さがある。ただ、私の仕事は選手たちが最大のチャンスを得ること。彼らの成長を加速させたい」(エディーHC) 2027年に間に合う可能性があるなら、それは追い求めるのだ。
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