国債買い入れ変化に身構える市場、円安と需給逼迫で日銀動くか
(ブルームバーグ): 約34年ぶりの水準まで進んだ円安に歯止めがかからない中、今週の日本銀行の金融政策決定会合で国債の買い入れ方針を巡り、減額に向けた何らかのメッセージが発せられるのではないかとの警戒感が債券市場で出ている。
25、26日に開催される日銀会合では、春闘を反映した賃金物価データが得られていないため、追加利上げが実施される可能性は低い。ただ、円相場が1ドル=155円の心理的節目に近づく中、過度な円安への対応を日銀に期待する声は少なくない。折しも中東情勢の緊迫化で原油相場が不安定化しており、円安と原油高の同時進行で輸入物価が高騰し、企業や家計を直撃するリスクが高まっている。
植田和男総裁は19日、米ワシントンで講演し、基調的な物価トレンドが改善すればさらに金利を引き上げる公算が大きいと指摘。国債買い入れについても将来のどこかの時点で減らすと述べた。
緩和的な金融環境は当面継続、国債買い入れはいずれ減額へ-日銀総裁
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、国債買い入れ政策について「マイナス金利解除後の債券市場動向を踏まえて何らかのヒントが提供される可能性はある」と指摘。事前の予想が乏しいため「国債買い入れ政策の修正は市場インパクトが大きくなりやすく、注意が必要だろう」と言う。
ブルームバーグが会合前に実施したサーベイによると、追加利上げ時期について10月までとの回答が76%とコンセンサスが形成されている一方、量的引き締めは10月までが43%にとどまり、想定せずとの回答が20%を占めるなど予想が分かれている。
調査リポート:日銀4月会合ほぼ全員が現状維持予測-年内利上げ増加
量的引き締め開始のシグナル
日銀は3月会合の公表文で「これまでとおおむね同程度の金額で長期国債の買い入れを継続する」と表明。欄外に「足元の長期国債の月間買い入れ額は6兆円程度となっている」と注記した。これらの文言が削除されたり、何らかの変更があれば長期金利に上昇圧力が加わる可能性がある。