近鉄などが脱線事故の対応訓練 乗客避難、復旧作業、迅速に的確に
近畿日本鉄道と奈良県警吉野署、奈良県広域消防組合は25日、大淀町北六田の近鉄六田車庫で、事故や災害の発生に備えた復旧訓練を行った。近鉄208人、吉野署6人、大淀消防署15人の計229人が参加。脱線事故対応や連携の手順などを確認、検証した。 [写真]車両からけが人を運び出す消防隊員ら=25日、大淀町北六田の近鉄六田車庫
近鉄吉野線で落石、倒木があり、乗り上げた列車が脱線して停車し、さらに乗客の一人が刃物を持って暴れ出したと想定。乗務員は乗客の安全を確保し、駆け付けた警察官が男を制圧。車内でけがをした乗客4人を消防が救護、搬送した。 乗客約50人を安全な場所に避難誘導した後、復旧作業を開始。技術系の社員らが見事なチームワークで倒木と落石を撤去、破損したまくら木やレールボンドの交換など線路と電気設備を復旧した。事故車両はあらかじめ車輪を脱線させていて、油圧式ジャッキを操作して車両を上下や横方向に動かして線路に戻した。 訓練前のあいさつで、近鉄の高浦仁史・大阪統括部長は、1971(昭和46)年10月25日に三重県白山町(現・津市)で発生した大阪線列車衝突事故の教訓を示し、「それぞれの立場でシミュレーションし、課題を見出しながら取り組んでください」と述べた。 参加者は緊迫の訓練を展開し、米野義浩・同部運輸課長は「警察・消防、各部が互いの動きを確認でき、今後の備えにつながった。訓練を重ね、人命第一で安全輸送に努める」と話した。