山梨・清春芸術村で「こどものための建築」プロジェクトがスタート
山梨県北杜市の芸術文化施設、清春芸術村で、子どものための遊び場を建築家が設計する「こどものための建築」プロジェクトが始動した。第1弾として、柱と梁、屋根で構成されるフレームに柔らかい床を重ねた“遊びの塔”が完成。設計を担当したのは、建築家の内田奈緒だ。
清春芸術村は、1980年、清春小学校の跡地に誕生した芸術文化施設。谷口吉生の設計による「清春白樺美術館」や「ルオー礼拝堂」をはじめ、藤森照信の茶室「徹」、安藤忠雄の「光の美術館」、新素材研究所/杉本博司+榊田倫之のゲストハウス「和心」など、敷地内には名建築が立ち並ぶ。
「こどものための建築」は、小さな子どもたちにも「本物の『建築』に触れて欲しい」、「『建築』という世界があることを知って欲しい」という思いから始まったプロジェクトだ。このAI時代を生きる子どもたちが、感性を磨くことができるような遊び場をつくるべく、建築家にその設計を依頼していく。 プロジェクト第1弾の設計を担当した内田奈緒は、福井・敦賀の遊具メーカー「ジャクエツ」とコラボレーション。内田は、清春芸術村内に立つ「エッフェル塔の階段」を起点に、ここに「もう一つ小さな塔を建てるとしたら」と考え、「少しねじれたネットの床を空に向かって積層させる」イメージをふくらませた。
こうして完成したのが、4本の柱と梁と屋根でつくられたプリミティブなフレームに、傾斜したやわらかい床を重ねた“遊びの塔”だ。内田は、本作についてこうコメント。「この建築の中で、身を委ねる床と、外の景色との関係性を絶えず変化させながら、これからの時代を生きる子どもたちが身体いっぱい遊び、感性を育んでいってくれることを願います」 「アート」と「建築」に加え、「遊び」の要素がプラスされた清春芸術村。ぜひ実際に訪れ、南アルプスを望む、この文化施設の魅力をさまざまな角度から体感してみてほしい。