地域貢献にやりがい 「根暗」時代から立ち直った高3生 里山整備や救命資格取得/兵庫・丹波市
兵庫県丹波市立春日中学校出身で、同県立西脇北高校3年の道本結斗さんが、同校ボランティア部の部長として里山整備や救命資格の取得・普及といった活動に取り組み、地域貢献を果たしている。周囲とのコミュニケーションに悩み、学校に行けない日もあった中学時代から一転。体験を通じて人と積極的に関わり、立ち直れた経験から、人を支えるボランティア活動にやりがいを見出している。 同部には全校生約180人が入部。道本さんは中心的立場を担う執行部として1年時から活動している。 放課後の草刈りやごみ拾いといった美化活動などのほか、放置竹林で伐採した竹を活用し、カブトムシ養殖やキノコ栽培、東屋や竹灯籠の製作などに生かすプロジェクトも行っている。 また、「災害時などに人の命を守れる人を増やしたい」と、普通救命講習や応急手当普及員といった資格取得にも挑戦。11月には、道本さんら応急手当普及員の資格を持つ部員5人が講師となり、普通救命講習を西脇市で、無料で開く。 ◆支援施設の体験転機に 「人と関わるのは怖くない」 「根暗で、しゃべりかけられるのも嫌だった」と、殻に閉じこもっていた中学時代を振り返る。学校に行けない日も増えた。 そんな中、不登校傾向にある児童や生徒を支援する朝来市の宿泊体験施設「但馬やまびこの郷」を利用。同じ境遇にある子どもたちや、講師と協力して料理や工作、川遊び、スキーといったさまざまな体験を楽しんだ。 交流を通じて「悩んでいるのは自分だけじゃない。人と関わるのは怖くない」と思えて、ありのままの自分をさらけ出せるようになった。 ◆「次は誰かを支えたい」 社交的になりボランティア部牽引 同施設の体験を機に立ち直れた経験から、入学した西脇北高では「次は自分が誰かを支えたい」と思い、ボランティア部の執行部に入った。積極的に話しかけられるようになり、友人もたくさんできた。 学業や兼部する吹奏楽部の活動、学校で推奨されるアルバイトをこなしながら、ボランティア活動に励む。リーダーシップを発揮し、ボランティア部の活動アイデアも仲間と共に積極的に出し、具現化させている。生徒会の文化部長として行事運営にも関わる。 ボランティア部顧問の高槻浩之教諭(49)は「体力が心配になるぐらい、積極的に活動してくれている。地域のおじいちゃんや子どもたちとも積極的にコミュニケーションを取り、気が利く。かけがえのない存在」とたたえる。 ◆活動のやりがい 「『ありがとう』が”重く”伝わる」 「ボランティアのやりがいは『ありがとう』の言葉が”重く”伝わること。人の役に立てているのが実感できている」と道本さん。中学時代と比べ、「自分から意見が言えるようになった。人として180度変われた。自分でもびっくりするぐらい。中学時代の友だちからも『めっちゃ明るくなった』と言われる」と頬を緩ませる。 高校入学当初に将来の夢は定まっていなかった。だが、ボランティア活動に参加し、多くの人に感謝されることで自分に自信が持てた。今の夢は被災地で活動する「災害支援ナース」になることだ。「看護師が不足する中、自分のこれまでのノウハウも生かせると思う」と目を輝かせる。
丹波新聞社