シャルル・ルクレールに母国モナコGP初優勝をもたらした超スローペース戦略の妙「チームは『もっと落としてくれ』と…」
父の思い出とともに
「だって、ここは僕がF1ドライバーになるという夢を抱かせてくれたグランプリだから。小さかったとき、父親と一緒に観戦したことをいまでも覚えている」 父親のエルヴェは2017年6月20日、長期にわたる闘病の末に死去した。当時F2に参戦していたルクレールは、4日後に行われたアゼルバイジャンでのレース1で悲しみに打ち勝ちポール・トゥ・ウィンを飾った。 この日もルクレールの心の中にエルヴェがいた。残り2周、ルクレールはようやく優勝を確信すると、感情を抑えることができず、目に涙を浮かべながらチェッカーフラッグを目指していたという。 78周目、F1史上初めてモナコ人ドライバーがモナコGPでトップチェッカーを受けると、モナコ港に停泊していたクルーザーから一斉に祝砲が上がった。 「チェッカーフラッグを受けた後、スタンドやバルコニーをはじめ、サーキットにいる大勢の人たちが祝福しているのが見えた。優勝するために、あるいは少なくともあらゆる可能性を確保するために、今日はどんな作戦でもやるつもりだった」 超スローペース、抜けない市街地コースに多くのドライバーやファンから批判が集まった今年のモナコGP。それでもそれが、だれよりもモナコを知り、だれよりもモナコを愛し、だれよりもモナコで勝ちたかったルクレールが決断した乾坤一擲の戦略だったとしたら、私はこういうモナコGPも決して嫌いではない。
(「F1ピットストップ」尾張正博 = 文)
【関連記事】
- 【レジェンド写真】マクラーレン時代のホンダとセナ、プロストがカッコよすぎ。初々しいシューマッハー、ヤンチャそうなマンセル…懐かしきF1ヒーローの雄姿を見る(20枚超)
- 【フェラーリやらかし史】ラウダ、プロスト、アロンソ、ベッテル…数多の名ドライバーが食らわされた、フェラーリの“やらかし”と内紛の黒歴史
- 【伝説写真】ラウダ、プロスト、シューマッハ、アロンソ、ベッテル……F1史を彩った伝説のチャンピオンたちのフェラーリ時代の勇姿
- 【最新写真】2024年版!角田裕毅の「愛され日常PHOTO」…ピンクのセットアップかわいすぎ! 確執解消?リカルドと笑顔のツーショット、ネイマールとも仲良し…今シーズンの角田くんの素顔を写真で見る
- 【衝撃画像】「周冠宇のマシンが吹っ飛んで裏返しでコースを滑走してる…」「炎の中にドライバーがいるじゃんか…」ドライバーが九死に一生を得た瞬間など大クラッシュ史を見る