シャルル・ルクレールに母国モナコGP初優勝をもたらした超スローペース戦略の妙「チームは『もっと落としてくれ』と…」
モナコならではの決断
ところが日曜日の決勝レースはスタート直後に後方で多重クラッシュが発生し、1周目に赤旗中断となる。F1のルールでは、ドライコンディションの場合、2種類のタイヤを使用せねばならず、最低1回はピットインしなければならない。そのタイヤ交換作業は赤旗中のピットイン時でも有効であることから、ルクレールを先頭にほとんどのドライバーがピットイン。スタート時とは異なるコンパウンドのタイヤに履き替え、タイヤ交換の義務を果たした。 ただし、モナコGPの周回数は78周。1周目に赤旗中断となったこのレースで、再スタートでもポールポジションからスタートするルクレールが、ピットストップしないで優勝するためには、1セットのタイヤで77周を走らなければならないこととなった。 ここでルクレールとチームは、勇気ある戦略の採用を決断する。それは、超スローペース作戦だ。もともと低速コースのモナコは、負荷を与えない走りに徹すればタイヤが持つ。しかも、ペースを落としても抜きどころがないため、要所を押さえればオーバーテイクされるリスクは少ない。 再スタートでもトップの座を堅持したルクレールは、後ろを見ながらレースをコントロールした。再スタート直後の3周目のペースは自身が前日に記録したポールポジションタイムの1分10秒270より14秒も遅い1分24秒台。それがいかに異例だったかは、F1の前座として行なわれたF2のフィーチャーレースのファステストラップが1分22秒台だったことからもわかる。 その後、燃料が軽くなるにつれてルクレールのペースは徐々に上がっていくが、必要以上に速く走ることはなかった。なぜなら、自分がペースを上げて後続に20秒以上の差をつけると、後続のドライバーにピットストップせざるを得ない機会を与えることとなり、そうするとニュータイヤで攻撃される可能性が生じるからだ。 「チームは『もっとペースを落としてくれ』と無線で指示してきたんだ。でも、僕にとっては決して楽ではなかった。なぜなら、ラップタイムを落とすことで自分のリズムを見失い、ブレーキングをミスしやすくなるからね」 それでも、ルクレールが集中力を切らすことはなかった。
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