韓国1号店オープン 「鳥貴族」海外進出の秘策とは?【WBS】
370円均一という低価格メニューでおなじみの焼き鳥チェーン「鳥貴族」が韓国に1号店をオープンしました。鳥貴族にとっては9月20日に進出した台湾に続く海外店舗となりますが世界展開を見据え、韓国市場でビジネスチャンスを探ります。 韓国ソウルの若者の街・ホンデに9月28日オープンした鳥貴族の韓国1号店。メニュー構成はほぼ日本同様で全品4900ウォン(約530円)の均一価格。初日から若者で賑わいを見せました。 「日本に留学したときによく食べに行った。味は日本と全く同じ」(客) 「均一価格なので他の店より気軽に酒を飲めると思う」(客) 鳥貴族ホンデ本店は、初日の売上目標だった約60万円を上回ったといいます。 これまで日本の外食チェーンは韓国市場に進出するも吉野家、一風堂など相次ぎ撤退。丸亀製麺のように日本製品の不買運動が撤退に繋がったこともありました。しかし、現在の尹錫悦政権で進んだ日韓関係の改善もあって、日本食が再びブームに。 本格的な日本の味の需要も高まっています。 この韓国市場に挑むのが、鳥貴族コリアの筒井信人さんです。 「韓国はいま高級店とリーズナブルな店の二極化がすごく激しくなっている。リーズナブル市場の中で焼き鳥というジャンルが丸々空いている」(鳥貴族コリアの筒井信人代表) しかし、韓国出店にあたって思わぬ苦戦がありました。韓国では厨房機器の輸入に規制があり、日本の店舗で使用している焼き台が使えません。このためうまく熱が伝わらないのです。 オープンまで2週間に迫ったこの日、日本から来た本社の幹部が店の状況や味をチェックしますが「モモの脂が舌に残る感じがする」「火力が弱いの?低温調理みたいになっている」と話し、焼き上がりの遅さは店の回転率にも直結するため、更なる改良を求めました。
ドミナント戦略で出店加速
焼き台にも目処がついた筒井さん。この日は韓国市場にどう根づかせるか、ある秘策を練っていました。 「韓国に来た日系企業が各店舗を別々のエリアで出店するから認知が広がらない。今回の出店戦略はドミナント戦略」 鳥貴族が都市部で得意とするのが、同一地域に集中的に出店して顧客を囲むドミナント戦略。店舗同士の近さはスタッフの人繰りや物流コストも抑えられます。筒井さんはホンデ地区への集中出店で一気に認知度を高めたいと考えていました。 訪れたのは1号店から300メートルほどの場所。12月オープンを目指す韓国2号店の物件です。5年以内に国内で300店舗を目指します。 「満席で待ちが出たときは『5分ぐらいの場所にもう1店舗あるので』と客も流せる」(筒井さん) 鳥貴族では韓国で弾みをつけ、アジア市場に加え、北米市場の開拓も狙います。 「韓国で成功すれば、すごく弾みがつく。今後の東南アジア、欧州、豪州への出店に生かしていきたいと思う」(「鳥貴族」を展開するエターナルホスピタリティグループの大倉忠司社長) ※ワールドビジネスサテライト