農業予算は各党とも「増額」意向 衆院選へ農政公約を聞く
所得確保策で違い
日本農業新聞は、衆院選(27日投開票)に関し主要各党に農政公約を聞くアンケートを実施した。農業予算を巡り、全党が「増額」の意向を示した。農政で訴えたいこととして、与党は生産費を考慮した価格形成を念頭に「所得増大」を掲げた。野党の多くは新たな直接支払制度や所得補償を唱えた。 当初・補正合わせて年間3兆円強で推移する農業予算の考え方を①増額②現状維持③その他──の3択で尋ね、理由なども聞いた。 自民党は「予算総額の十分な増額を図る」と強調。資材費の高騰を踏まえて必要な事業量を確保する考えだ。公明党は、政府が掲げる「農業構造転換」を集中的に進めるため、年3兆円強の予算確保に万全を期すとした。 立憲民主党は「安定的に農業に従事できる環境整備が必要」だとし、現行水準は不十分との認識を強調した。日本維新の会は、輸出やスマート農業などを重視し、必要額を確保する考えを示した。 共産党は「現状の倍以上」の予算が必要だとし、「従来の枠を超えた予算増が不可欠」だと主張。国民民主党は、直接支払制度などを通じた所得向上へ、「4兆円」を確保すると踏み込んだ。 「農政で最も訴えたいこと」は、優先順に三つ尋ねた。 自民は食料安全保障の強化を第一に挙げ、農業・農村の所得増大などを訴えた。公明は生産性向上などを通じた所得向上を真っ先に提起。生産費を考慮した価格形成に必要な法整備も重視する。 立民は、食料安保確立へ自給率向上や新たな直接支払制度を唱えた。維新は米増産を念頭に「抑える農政から伸ばす農政への転換」を提起。「新規参入を阻む規制撤廃」もうたう。 共産はカロリーベースの自給率を50%に高めるとし、価格保障・所得補償を唱えた。国民は直接支払制度を訴え、米から麦などへの転換を支える「水田活用の直接支払交付金」の水張り要件撤廃も主張した。 (松本大輔)
日本農業新聞