「ユニクロは便利。ドンキは賢いね」資産10億円超シンガポールの“親日家”富豪弁護士は「福岡の不動産」に熱視線
オリエンタルラジオ・中田敦彦、伊東美咲ら著名人が続々移住するなど、世界の富裕層が集まるシンガポール。そこに暮らす“ホンモノの大富豪”たちは、「落日の日本」の将来をどう見ているのか――。 【画像あり】チュングさんは個人から上場企業まで幅広いクライアントを持つ ■推定資産10億円以上/ティング・ファイ・チュングさん(50代) 弁護士法人「CTF&Co.」設立パートナー兼マネージング・パートナー。6歳のときに香港から移住。父は小規模農家で、チュング氏は兵役を終えた後、シンガポール国立大学で法律の学位を取得し、弁護士に。個人から上場企業まで幅広いクライアントを持つ。 30年以上の経験を持つベテラン弁護士であるチュングさんは、2024年に入ってから、すでに2回来日しているという。 「年初に友達と旅行を、春にはビジネスで出張をしました。コロナ前には京都で坂本龍馬の史跡巡りをしましたよ。日本では電車のグッズとか『ガンダム』などのアニメのソフトとか、いろんな物がコレクションの対象になっているのがおもしろい。シンガポールは経済合理性を追求した若い国だから、趣味を楽しむ人が少ないと感じますね」 チュングさんには剣道の経験があり、祖父やその兄弟が明治時代に日本の大学で学んだ影響もある。 「日本の企業にも注目しています。ユニクロはシンプルで、紳士服店の売場が狭いことの多いシンガポールでは便利な存在です。ドン・キホーテは日本だと何でも売っているけど、こちらでは地元で売れる物だけを選んでいて賢いと思います。ダイソーや紀伊國屋書店も素晴らしい。ただ、こっちのハンズは売場が狭いから、日本で買い物をするほうが安いし、楽しいね(笑)」 同国でも好調な日本企業だが、飲食店は撤退してしまうケースが多いという。 「香港や台湾の人は、日本のコメなどの産地をすごく気にしますが、シンガポールはそこまでではない人も多いんです。その一方で、天ぷらや寿司といったメジャーな食べ物や、『獺祭(だっさい)』など有名ブランドを好むから、ブランディングをうまくやらないと難しいですよね」 チュングさんの事務所では民事・刑事事件の紛争解決のほか、中国、ASEAN、日本の富裕層の遺産相続などのアドバイスもおこなっており、日本人の弁護士も在籍する。チュングさんの収入はそれらのビジネスによるものが大きいが、資産運用も彼の資産を増やすことに貢献したと語る。 「もちろん、インサイダー取引に該当しないように、細心の注意を払っています。私は資産運用を常に長期で考えており、シンガポールのブルーチップ(優良企業)、米国の半導体メーカー・NVIDIA、香港の銀行・HSBCホールディングスなどに投資しています。今は、日本の不動産にも興味があります。注目しているのは九州の福岡。日本の相続税はちょっと大変ですけどね」 日本で好きなスポットを聞くと、夏目漱石のミュージアム「漱石山房記念館」(東京・新宿区)と即答するチュングさん。筋金入りの親日家にして資産管理のプロの、九州進出は近そうだ。 取材/文/写真・花輪陽子(シンガポール在住ファイナンシャル・プランナー) 外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年から生活の拠点をシンガポールに移し、ファミリーオフィス(富裕層一族の資産管理会社)などでウェルスマネジメントに従事。近著は、ファンドマネ―ジャーの河北博光氏著『世界標準の資産の増やし方 豊かに生きるための投資の大原則』(東洋経済新報社、執筆協力)
週刊FLASH 2024年9月24日・10月1日合併号
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