<劇場版モノノ怪>中村健治監督×神谷浩史対談(1) 17年ぶり新作の“新生”薬売り 真実にたどり着くため熱く、動く
◇薬売りは64人いた! テレビシリーズとは別人 新たな薬売りとは?
--大奥の中でも集団の利益のために“個”が抑えつけられる場面が描かれます。薬売りは、そんな大奥に潜む“モノノ怪”と対峙(たいじ)することになります。新作で描こうとした薬売り像とは?
中村監督 薬売りについては、予告編の収録の際に神谷さんと打ち合わせをして、擦り合わせをしたんです。
神谷さん そこで「薬売りは実は64人いる」と聞かされたんです。だから、テレビシリーズの薬売りとは別人なんです、と。例えば、仮面ライダーが何人もいるように、見た目は似てるかもしれないけど、中身は違うと聞いて、「なるほど、全て理解しました」と。
--薬売りが64人いるという設定は、以前からあったものなのですか。
中村監督 2006年からある設定です。退魔の剣は64本あり、時の脅威に応じて薬売りは最大で剣と同じ数だけ同時に存在できる。神谷さんには、64本の剣のうち特別な8本を持っている薬売りの中の一人をやってくださいというお話をしました。17年ぶりの新作ということで、そういうところも出して行こうと。テレビシリーズ以降、「モノノ怪」をずっとやることがなかったので、これはちょっとずつ(ほかの薬売りがいるという元々の設定を)出さないとヤバいなと思って(笑い)。
神谷さん ある意味、特殊な薬売りの一人をやらせていただくにあたって、監督から「神谷さんが演じる薬売りは、起こっているトラブルに対して、自分から首を突っ込むタイプ。真実にたどり着くために、自分の身を犠牲にする。ある程度能動的に動いていくタイプの薬売りだと思ってください」と言われて。僕はそれを聞いて「あ、本当よかった」と思ったんですよね。というのも、やっぱり薬売りって、つかみどころがあまりにもなさすぎて、何を考えているのか分からない人なので。というか、人かどうかも分からないですから。でも、仮面ライダー、悪を倒すための組織の一人であると言われて、なるほどと。中でも、「仮面ライダー響鬼」に近いかな。僕、大好きなんですけど。