札幌第一、最後まで 九回、粘りの追加点 /北海道
<2019 第91回センバツ高校野球> この悔しさは夏に晴らす--。25日の第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)で、3回目の出場となった札幌第一は、1回戦で山梨学院(山梨)に5-24で敗れ、悲願のセンバツ初勝利を果たせなかった。最後まで諦めず、粘り強い攻撃を続けた選手たちには、スタンドから惜しみない拍手が送られた。【土谷純一、岩壁峻、川村咲平】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 点差が開いた九回の攻撃でも最後まで決して諦めなかった。 代打の木田祥太選手(3年)が中前打で塁に出ると、続く山口凜選手(2年)も内野安打を放ち、門崎匠吾捕手(3年)の左前適時打で1点。さらに大平裕人主将(同)は「食らいついて絶対に後ろにつなげる」と外角の直球をとらえ、4連打で2点目を追加。主将としての意地を見せた。 「投手の立ち上がりにかかっている」と試合前に話した菊池雄人監督は、強打の山梨学院打線に対して6人の投手全員を投入した。 しかし、先発の山田翔太投手(2年)は一回裏、先制本塁打を打たれ、相手打線が勢いづいた。村田凜一塁手(3年)は「何とか間をとらないと」とマウンドで声をかけたが、山田投手は降板。エース・野島丈投手(同)、近藤吏矩投手(2年)と継投したが、この回10点を奪われた。 二回表2死三塁の好機で、近藤投手が右前適時打を放ち、1点を返した。その裏、近藤投手は2点を追加されるも、三回は0点に抑えた。近藤投手の兄でこの春に同校を卒業した野球部OBの匠さん(18)は「この回は初球のストライクが入っている。まだまだ諦めないでほしい」と見守った。 苦しい展開の中でも、チアリーダー部の土原久花部長(3年)は「追いつけるよう、皆で応援し続ける」と全力でエールを送った。 試合を振り返り、大平主将は「これまでで一番悔しい。準備が甘かった。次こそ初戦を勝てるように練習していきたい」と誓った。 ◇第一らしい曲奏で ○…札幌第一の吹奏楽局は2016年、センバツに初出場した際、菊池監督から「北海道にちなんだ曲をやってもらいたい」とリクエストされた。現在では北海道に関連した8曲を演奏している。このうち、今回新しく採用した同校OBがボーカルを務めるロックバンド、サカナクションの「アイデンティティ」を応援用に編曲したのは、鍵盤ハーモニカ担当の原田明莉さん(3年)。「新しく札幌第一のイメージに合うものを」と選択した。原田さんは「この曲が選手たちの力になればうれしい」と笑顔でエールを送った。 ◇いとこも駆けつけ ○…札幌第一のアルプススタンドには大宮昂汰郎選手(3年)のいとこで、同校野球部OBの大学生、大宮隆太さん(20)が札幌から応援に駆けつけた。昂汰郎選手とは幼少期からキャッチボールで遊び、センバツ前には「頑張るわ」とメッセージが届いたという。隆太さんも同校が初出場した2016年のセンバツ開会式で、プラカードを持って甲子園に立ったが、ベンチ入りは果たせなかった。隆太さんは「思い切り甲子園を楽しんでほしい」と話し、メガホンをたたきながら声援を送った。 ……………………………………………………………………………………………………… ■球詩 ◇「本当のエースに」決意 札幌第一・野島丈投手(3年) この日先発した山田翔太投手(2年)からマウンドを託されたエースは、背番号1の意味を「どんな場面でもマウンドに上がって先頭に立ち、チームを支える責任が伴う重い数字」と考え、これまで重圧と戦ってきた。 「このままでは駄目だ」と感じたのは、昨秋の道大会決勝。味方のリードを投手陣が守りきれず、敗退した。ふがいない自らの投球に「あの試合がずっと忘れられなかった」。 悔しい思いを胸に、自分の練習だけでなく、率先して苦手としていた練習中の周りへの声かけもするように気を付けた。 山梨学院の強打を誇る3番に、外角低めの球で勝負する作戦で挑んだ。しかし放った球はわずかに内角寄りになってしまい、これが本塁打に。アウトをとれずにマウンドを降りた。 試合後、ぼうぜんとした様子で「これでは秋の決勝で負けた試合と同じだ」といったんは下を向いた。それでも「チームを引っ張れる本当のエースにならないといけない」と新たな決意を胸に、甲子園の舞台を去った。【土谷純一】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽1回戦 札幌第一 011010002=5 102032205×=24 山梨学院