J3開幕 上位リーグに近いクラブはどこ?
■ガイナーレ鳥取 (J2 22位) 鳥取はGMが市民を巻き込んで盛り上げていますね。昨年をもって、“野人”岡野雅行が現役を引退し、鳥取のGMに就任しています。もともと岡野さんが現役時代から働きかけて、スタジアム建設にも大きく貢献し、「YAJINスタジアム」を作ることができた。昨年までJ2にいただけあり、戦力としても運営面でも実績があり、再びJ2を狙ってくるでしょう。野人がどこまで地域を巻き込んで、盛り上げていけるか、期待したいクラブです。ホームタウンの人口も決して多いとはいえない地域なので、そこでどれだけやれるかは、今後のJ3チームを目指すクラブにとって、1つの指標になるかもしれません。 ■FC琉球(JFL11位) 沖縄は、自治体としてのバックアップが期待できるクラブの1つ。県として、予算をしっかりもっているので、それを琉球に出資する、ということが可能で、そういう話があります。また、沖縄には、地場に強い企業力もある話があるので、経済的な面では、十分、ポテンシャルが高いでしょう。戦力をいかに整えてくるか、が今後の課題になるでしょう。 ■ツエーゲン金沢(JFL7位) 条件付きではあるものの、J2未経験のクラブの中で、唯一、既にJ2クラブライセンスが付与されているチームです。メイン球技場となる県西部緑地公園陸上競技場(金沢市)の改修に、県が約2億7000万円を投じるなど、自治体や地元企業のサポート体制も厚いことが評価につながっています。「2015年の北陸新幹線金沢開業と同時にJ2昇格」の達成に向けた勝負の年でもあるため、積極的な補強による2位以内の確保と、昨季平均2,063名であった観客動員数を3,000名まで引き上げることができるかがポイントとなるでしょう。 さまざまな課題を抱えつつも、それぞれのクラブの強みを発揮できれば、どこが上位リーグへ抜け出してもおかしくないといえるJ3。Jリーグが日本に誕生して21年目。新しいリーグは、どう輝きを放つでしょうか? 【取材協力】 ■大野知也(おおの・ともや) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング コンサルティング・国際事業本部 C&B室 チーフコンサルタント。専門領域は「地域開発と連携した小売・商業の新業態開発」や「スポーツマーケティング」をテーマとした事業戦略コンサルティング。また、民間分野のみならず、スポーツ施設を中心としたPFI/PPP 関連業務にも従事するなど、公共事業と民間事業の交わる領域を主たる活動領域としている。 ■里見祐介(さとみ・ゆうすけ) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング コンサルティング・国際事業本部 革新支援室 コンサルタント。 専門領域は「スポーツマーケティング」「インキュベーション支援/新規事業開発」をテーマとした事業戦略コンサルティング。また、事業会社やスポーツ組織のM&A関連業務に従事するなど、財務・税務の観点に基づいた企業の成長戦略支援も活動領域としている。