2年ぶりのツアー優勝逃した28歳・堀琴音の今 30歳を目前に苦しむ日々 原江里菜から勧められた長尺パターに新たな光
【SPORTS BAR】 勝者がいれば、敗者が存在する。女子ゴルフの前週「資生堂レディス」で桑木志帆(21)がツアー初優勝、笑顔を輝かせたが、その陰で涙をこらえる堀琴音(28)がいた。最終日を首位で迎えながら逆転を許して2位。2年ぶりのツアー3勝目を逃した。 【写真】ツアー初優勝をした桑木志帆はインタビュー中に涙ぐんだ 「ちょっと情けなかったですね。風のミスジャッジ、アイアンショットで距離感が…。ひと工夫すればって。残念です」 若手が台頭する今の女子ゴルフ界だが、30歳前後の〝中堅世代〟はその存在が薄れつつある。すでに引退したあるベテランは、「ジュニア時代からゴルフに打ち込んできた。特に女性は30歳を手前にして、体のいろんな箇所にひずみができ、悩み、苦しむ年代なんですね」と指摘した。 堀も苦しんだ。2015年にJLPGA新人賞に輝き、21年「ニッポンハムレディス」、22年「Tポイント×ENEOS」とツアー2勝。その間、ドロー系からフェード系へのスイング改造など紆余曲折があったが、常にツアーの顔として歩んでいた。 そして昨年、序盤で結果が出ない日々。「手がスムーズに動かず、インパクトでパンチが入ったり、緩んだりして」。新たな壁、スコアの根幹をなすパッティングの不調である。手首の動き、自らのミスに苛立っていた。そして出会いがあった。6月の「アース・モンダミンカップ」の練習日、一緒に回った原江里菜(36)から「いい意味で鈍感になれるよ」と〝長尺パター〟を勧められた。 普通のパターと違って長尺は手首を使わずストロークする。ライン読みと距離感だけ気をつければいい。「だから外しても自分が悪いと思わなくなった」とストレスが消えた。前週は7メートル以上のロングパットを何本も沈めていた。新たな武器が手に馴染んだ。敗れても新たな光を見つけた堀がいた。 「去年のことを考えれば、優勝争いができたことをプラスに考えたい。自信を失っていたけど、この感じなら通算3勝目をしたい、ではなく、できると感じました」。昨年は年間ポイントランキング51位でシードを失ったが、リランキングで実績を積み、もっか年間ランクは35位。シード圏内にいる。これからの堀に視線を注ぎたい。 (産経新聞特別記者・清水満)