がん×認知症の“併発”で死亡リスク増――医師「がん入院患者の2割」 大切なのは「本人が決める機会」…家族は?【#みんなのギモン】
■負担増…家族はどう支えれば?
菅原委員 「併発となると、支える家族の負担も大きくなります。小川医師が実際に見た、ぼうこうがんの80代女性のケースでは、50代の息子さんと2人暮らしですが、認知症を併発し、身の回りのことも息子さんに支援を受けないと難しい状況でした」 「そんな中、ぼうこうがんが再発。ぼうこうを全摘出し、人工ぼうこうをつける方法もありましたが、息子さん1人で働きながら1日中支援するのはかなり難しく、治療の選択も難しくなってしまいました。こういうケースは人ごとではないなと感じます」 忽滑谷こころアナウンサー 「ご本人はもちろん、支える息子さんのことを考えると本当に大変だろうな、と心が痛みます。2人に1人ががんになる時代と言われ、人ごとでは決してない、自分たちにももちろん来る未来だと思いますが、こういう時は家族はどう対応したらいいのでしょう?」 菅原委員 「小川医師によると、がんと診断されたらまず、治療をどう進めていきたいか患者本人を中心に話し合っておくことが大事だということです。というのも、入院してから認知症になることもあるので、早い段階で話しておくのがいいということです」 「また、人工ぼうこうや人工肛門が必要になった場合、ケアの負担がかなり大きくなります。そのため、退院した時に誰がケアをするのか、頻度や手間などを家族も確認しておくことが大切だということです」
■認知症の症状にいち早く気づくには?
菅原委員 「そして、認知症の症状にいち早く気づくのも重要な点です。認知症は物忘れだけでなく、初期の症状として好きな趣味を急にしなくなる、全然外出しなくなるなど、急に活動が減るということも多いそうです」 「そのため『年相応の物忘れかな』と簡単に捉えて見過ごさず、異変があったらかかりつけ医や地域の相談窓口などに、『こういう症状があるんですけど、どうでしょうか?』と相談することが大事だそうです」 鈴江アナウンサー 「元気なうちに治療方針などを話しておくといい、ということですが、認知症もがんも、当事者になった時は本当にそれを受け止める、受け入れるというのは、とても心のハードルが高いものだと思います。まずはそのハードルを下げる(のが大切ですね)」 「誰がなっても、いつかはなってもおかしくないものだと、元気な時から日頃から親と会話をして、前段階の心のバリアを下げておく。(そういった)日常のコミュニケーションを大事にしたいなと思いました」 菅原委員 「どんな病院・施設でも、がんと認知症それぞれの専門家がうまく連携できるシステム作りや、併発した患者さんと家族に寄り添った支援も求められます」 (2月2日『news every.』より)