石浦神社、台湾に分社 加賀屋の一角、神前式に対応へ 日本文化伝え交流推進
石浦神社(金沢市本多町3丁目)の台湾分社が12日までに、台北市にある高級旅館「日勝生(にっしょうせい)加賀屋」内に設けられた。長谷(はせ)吉憲宮司(49)の先祖がかつて、台湾の神社で神職を務めていたことがきっかけ。今後、現地で神前結婚式を挙式できる体制を整え、日本文化を伝えることで日台交流の推進につなげる。 長谷宮司の4代前の高祖父は日本統治時代の台湾で、台南神社で神職を務めていた。長谷宮司も、台南大学で非常勤講師として日本文化に関する講義を行うなど、台湾に足しげく通っている。 台湾の百貨店では神社のキャラクター「きまちゃん」のグッズ販売を続けており、石浦神社を参拝する台湾人客は多い。コロナ前は神前式を挙げる台湾人カップルも年間数組おり、長谷宮司は以前から分社を設けたいと考えていた。 そんな中、縁がつながって昨秋、日勝生加賀屋に神社のお札とお守りを授与するスペースを設置。その後、調整を重ね、宿泊客以外も参拝できる6階の宴会場の一角に分社をつくる運びとなった。 現地には神社建築を手掛ける職人がいないため、日本からヒノキ製のほこらを持ち込み、現地で組み立てた。台湾で縁起が良いとされる数字「6」が並んだ今年(令和6年)6月6日、長谷宮司ら4人が現地に赴いて遷座式を執り行った。 式の模様は台湾の全国ニュースに取り上げられ、話題になったという。長谷宮司は「神社や神前式を通じて日本文化を広め、今後、台湾から石川への誘客をもっと進めたい」と話す。 日勝生加賀屋の董事(取締役)で、台湾県人会代表を務める徳光重人さん(金沢市出身)は「台湾の人に台湾の信仰と神道の共通点を見いだしてもらいたい」と希望を語った。 台湾分社ではこれから、正月や春、秋に祭りを執り行う。加賀屋と協力して現地のスタッフ教育に取り組み、神前式を行える体制を整えていく。