中学受験で問われる国語力とはどういうもの? 最も重要な要素「他者理解」
入試教科としての国語で必要な力には何があるでしょうか。最も重要な力は、多くの私立中高一貫校も教育理念として大切にしているそうです。 【画像】中学受験で問われる「国語力」の核 学校でも、社会に出ても、他者の立場に立って気持ちを理解し、自分の考えも伝えられる人になってほしい...。 受験で問われる「国語力」を、すばる進学セミナー代表/かまくら国語塾主宰の中本順也著『おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方』から紹介します。 ※本稿は、中本順也著『おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。
「表」と「裏」の国語力
それでは、中学受験で問われている「国語力」とは一体どのようなものなのでしょうか。 まず、「語彙力」。これは絶対です。言葉の意味や使い方がわからなければ読めないし、理解できないし、書けません。 難しい論説文や小説の出題を通して、一定の語彙力を持って入学してほしいという学校の意図はよくわかります。 語彙力がなければ、国語で点数を取るのは極めて難しくなります。 さらに、筆者や作者が文章を通して伝えようとしていることを読みとる「読解力」や、与えられた情報を的確に受け止め、筋道を立てて考えを整理していく 「論理的思考力」などもあります。
最も重要なのは「他者理解」
入試教科としての国語で必要な力は多岐にわたりますが、私が最も重要だと考えているのが 「他者理解」 です。 他者の立場に立って気持ちを理解し(物語文・小説)、意見を受け止めて(説明的文章)、自分自身の感覚と客観的に照らし合わせる。そして、自らの想いや考えを文章や解答として、他者(学校)に届けていく。 何千題と国語の入試問題を解いていくなかで、否応なく感じさせられる、いわば中学受験国語の隠れた約束ごととも言えるものがこの「他者理解」です。 例えば栄光学園(神奈川県)の教育理念である「MEN FOR OTHERS, WITH OTHERS」や、東大寺学園(奈良県)が教育方針の中で「生あるものすべての共存・相互扶助への自覚を深め、情操豊かな人間性の育成につとめる」と説明しているように、私立中高一貫校のスクールポリシーにも、他者理解についての文言が並びます。 異質の他者を前にしたときでも、相手の気持ちを理解し、自分の考えも伝えられる人になってほしい。 そして、周りの人と協力して、1人ではできないことを実現できる人になってほしい。 多くの私立中高一貫校が教育理念として大切にしているのは、まさにこうした「他者理解」の力です。
国語という入試科目で求められている力を発揮する
人は誰でも、自分とは違う意見や考え方を持つ人と出会います。 違うからこそ、最初はわかり合えないのが当たり前なのかもしれません。 学校でも、社会に出ても、それは同じです。 言葉は、人と人とをつなぐ大切な“共通の持ち物“です。 自分の気持ちを伝えるとき、どんな言葉を選べば相手に届くのか。相手の言葉の裏には、どんな気持ちや考えが隠れているのか。 たくさんの言葉を知り、的確に運用できるようになれば、相手の理解につながります。 それはつまり、国語という入試科目で求められている力を発揮できるようになるということでもあるのです。
中本順也