窪田正孝”藤竹”の過去が辛すぎる…科学部再出発の決め手となった名言とは? NHKドラマ『宙わたる教室』第9話考察レビュー
窪田正孝主演のNHKドラマ『宙わたる教室』が放送中。実話に着想を得て生まれた小説を実写化した本作は、さまざまな事情を抱えた生徒たちが集まる定時制高校に、謎めいた理科教師の藤竹が赴任してくる。今回は、第9話のレビューをお届け。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】窪田正孝の演技が上手すぎる…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『宙わたる教室』劇中カット一覧
ついに明らかになった藤竹(窪田正孝)の過去
『宙わたる教室』第9話では、ついに藤竹(窪田正孝)の過去が明らかになった。 かつて石神(高島礼子)のもとで助教をしていた藤竹が参加していた実験のメンバーに、高等専門学校の生徒・金井(佐久本宝)がいた。金井は優秀な生徒というわけではなかったらしいが、将来は研究者になることを夢見て、実験にも積極的に参加していた。 そんな金井の頑張りもあって完成した石神の論文には、しかし金井の名前は載っていない。「僕の名前も載りますかね?」と楽しそうに藤竹に尋ねる金井の声、「載るよ、当たり前でしょ」と答えるいまよりもふわふわした藤竹の声が思い出されて締め付けられる思いがした。 科学の前では人は平等――藤竹はその想いでこれまで研究に没頭してきたが、金井の件を石神に抗議したところ「高専の学生の名前なんて入れたら論文の格が下がる」と切り捨てられてしまった。高専の教師も石神には逆らえないと言うばかりか、「あまり金井をその気にさせないでくれ」と迷惑顔。 論文掲載に湧く石神たちを横目に、金井の顔からは表情がなくなり、藤竹の呼吸は心なしか浅くなっているようだった。大きなショックを受けたときって、たしかにこんな感じになる。呼吸の仕方が一瞬わからなくなって、手足が冷たくなって。窪田正孝の細かな表現力に、息が苦しくなった。 自分がそこにい続けることが石神たちを肯定することになってしまうと考えた藤竹は、助教の職を辞し、アメリカへ。そこでは若者と研究者が分け隔てなく研究をしていた。藤竹が当たり前にあると思っていた光景がたしかにあった。