ビザ問題で30時間移動→2日後に先発 国を背負ったベネズエラ右腕「ここに来られたこと自体が勝利」【プレミア12】
4位ベネズエラ、先発したサンチェスが語る初代表の喜び
野球の国際大会「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」は24日、東京ドームで3位決定戦を行い、ベネズエラは1-6で米国に敗れ4位に終わった。先発マウンドに上がったマリオ・サンチェス投手はビザの問題で来日が遅れ、22日の朝に母国から30時間かけて日本到着。試合では2回2/3を投げ2失点だったものの、試合後の会見には国旗を肩にかけて登場。国を背負って投げる喜びを語った。 【画像】他にもいた台湾チア6人を現地でパシャリ ショーパン姿の全身ショット 「今はとてもフレッシュな気分だよ」 色鮮やかなベネズエラ国旗をまとって試合後の会見に登場したサンチェスは、さわやかにこう言ってのけた。ビザ問題で1人来日が遅れ、21日にベネズエラのカラカスからようやく移動を開始。トルコ・イスタンブール経由で日本に降り立ったのが22日、金曜の朝だった。かかった時間は30時間以上。それでもすぐ準備に入り、23日の試合でもオマー・ロペス監督から声がかかれば投げるつもりだったというタフガイだ。 「ビザを取ってギリギリの来日になったんですけど、移動中にメンタル面ではどのようなシチュエーションでも投げられるように準備を整えてきました」と、試合をイメージしながらの長時間移動だったと明かす。 ただ、準備が報われないこともあるのが野球だ。チームの誰もが待っていた先発登板は、制球が定まらず2回2/3を1安打4四球、2失点で降板。「自分たちが望んだ結果ではないかもしれませんが、自分のやるべきことはできたと思います」。結果を淡々と受け入れた。 30歳のサンチェスには大リーグでのプレー経験がない。ツインズ傘下で3Aまで昇格したのち、2023年に台湾プロ野球の統一セブンイレブンライオンズへ移籍。シーズン後半は韓国のKIAで投げ、今季は再び統一へ。14勝5敗、167奪三振という素晴らしい成績を残した。ベネズエラ代表への選出は初めてで、今回の大会は「夢」だと言い切る。 「子供の頃から夢見ていたことが現実になっています。国を背負って戦うのはこんな気分なんだと。とてもいい気分です。もしワールド・ベースボール・クラシックの代表に選出されることがあれば、喜んで国のためにプレーしたい。国を代表してここに来られていること自体が勝利だと思います」 台湾の決勝進出で、日本をたくさんの台湾人の野球ファンが訪れていることもあり「台湾のプロ野球の代表という気持ちでも嬉しいことです。台湾では今野球がとても人気があり、強豪選手もチームも揃っています」と粋なセリフも残した。再び国際大会で、今度は日本の前に立ちはだかることがあるかもしれない。
THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori