【現地レポート】“絶対王者”中国代表に何が起こっているのか 現地で見た2つのポイント
中国男女代表に何が起こっているのか。 現在の世界の卓球界において、“最強”中国代表の団体1位は、ほぼ揺るがない存在であった。男子代表は世界選手権で11連覇、オリンピックでは男女とも団体戦5連覇を果たし、連勝記録を更新し続けている。 しかし、現在カザフスタンで行われている第27回アジア選手権では、男女ともに中国代表選手に“絶対王者”の面影はない。 10月9日、女子団体決勝戦では、日本が中国をマッチカウント3―1で勝利し、優勝を決めた。日本が中国代表に勝利しての団体優勝は実に50年ぶりという、歴史的勝利を飾ったのだ。 もちろん、張本美和(木下グループ)が孫穎莎(スンイーシャ・中国)に勝利するなど女子日本代表の成長が第一の理由だが、今回、男子中国代表でも団体準々決勝で世界ランキング1位の王楚欽(中国)が、14歳のベンヤミン・ファラージ(イラン)に敗れている。 今回のアジア選手権ならではの事情がなにかあるのか、現地での取材を通して、主に2つの理由が浮かんできた。
中国代表“異変”2つの理由
一つ目の理由は、慣れない大会球と卓球台である。 今回の大会球は、シームレスボールと呼ばれる繋ぎ目のない球である。直前まで行われていたWTTスマッシュ北京を含め、多くの大会では半球と半球を組み合わせて成型されるボールが主流である。 中国選手をはじめ多くの選手がシームレスボールへの対応に苦しんでいるが、中国選手のプレースタイルが日本選手よりも“細かい感覚、回転量を有する技術、台上、カウンター”などを軸にするため、結果的に中国選手に影響が大きく出ている可能性はある。 卓球台の弾みについても同様のことが言える。大会で採用されるメーカーによって、卓球台は微妙に弾みが異なる。 ある海外選手は「今回の卓球台はボールが滑る感じがあって、バウンドの変化が大きく軌道が変わることが多い」と対応に苦慮していることを明かした。 前述したように、台が滑ることで軌道が読めず、中国卓球が強みとする回転量やその高い技術がかえってミスを誘発している可能性がある。今大会は特に、台の弾みの変化にナイーブになる中国選手の様子が見られる。