「授業中に奇声」底辺校生徒追い詰めた“家庭の闇” 若手教師が2つの低偏差値校の指導で見た光景
また通っている生徒の学力面でも、前の学校との違いを考えさせられることがあるそうです。 「前の学校でもその傾向はありましたが、今の学校は地元で就職を考える子がたくさん入ってきます。進学費用がなくて、18歳で働きたい子も増えています。中には隣の市にある、中堅校や自称進学校に入れるような子たちもうちの学校に来ているのです。 一方でそういう子たちだけではなくて、5教科で100点を切るような子たちも多く通っており、多様な指導が必要になってきています」
教育現場もさまざまな生徒の特性に合わせた指導が必要になったことで、教員側の負担も増えています。 浜岡さんの赴任校では、「生徒とのやりとりよりも、教員とのやりとりのほうが大変」だと語ります。 「生徒に対応している教員の中には、生徒のことを見下している人もいます。『こんなこと、普通の高校生だったらできているのに、できてないのはダメだ!』と平気で生徒に言ったりする教員もいると、生徒から愚痴を聞くこともあります。
何が原因で、勉強ができていないのかを分析するのがわれわれの学校の課題なのに、それを分析すらしないで、そういうことを平気で言う人もいるのです。 勉強する機会が与えられていないからできない子もいますし、今、この環境で勉強がしたいのに、元気な生徒が多くて授業に集中できない子もいます。いろんな生徒がいるなかで、その対処を放棄して、勉強ができないことをバカにすることは絶対にやってはいけません。生徒指導の価値観が違うので、ほかの教員とコミュニケーションを取りたくても取れないのが悩みです」
そういう先生の態度は、生徒にも影響を及ぼしているようです。 ■生徒が騒いでいても授業を続ける先生も 「価値観が違う先生との会話が大変だと先ほど話しましたが、9割くらいの先生はみんなそうした『指導』に協力的です。でも、残り1割の先生は非協力的で、生徒がしゃべったり騒いだりしていても注意せずに授業を進めてしまうのです。 真面目に勉強をしたい、資格を取りたいと言う子も中にはいるのですが、信頼関係が作れていない先生の授業で、周囲が騒ぐから勉強ができないというクレームを生徒からもらうこともあります。