第158回直木賞受賞者の門井慶喜さんが会見(全文1)風が来た、飛ぶだけだ
書くことを通じて発見した宮沢賢治の面白さなどを教えてほしい
記者1:宮澤賢治も作家の大先輩になるわけですけども、あらためて宮澤賢治という作家を、父を通して書いてみて、どんな存在と思われました? 伊集院さん、先ほど、宮澤賢治を神格化されずに、ある種、普通の宮澤賢治っていうものを描いていくことで、むしろ宮澤賢治っていう文学の読みの可能性が広がるんではないかというようなおっしゃり方をしてましたけども、門井さんが書くことを通じて発見した宮澤賢治の面白さ、普通さとか、教えていただければ。 門井:物書きというのは一緒に暮らすと厄介ですね。それは思います。宮澤賢治という人も、もちろん書くものは天才である。僕も本当にそう思うんですが、1人の生活人として見ると、必ずしも社会的な成功者ではないわけですね。ですので、それは父親から見て、政次郎さんから見てどうだったか。まさに政次郎さんっていうのは子供を食べさせなきゃいけない。そして賢治にもゆくゆくは子供をつくって、子供を食べさせるような、そういう息子になってほしいと思ってるわけで、そういう生活人から見た物書きっていうのは非常に厄介だなというふうに、僕は自分のことを棚に上げて思いました。 記者1:自分はどうですか。 門井:いや、僕自身は。僕ですか。生活面ですか。いや、僕自身は厄介な人間だとは全然思ってませんよ。全然思ってないんですが、おそらく家族はそうは言わないでしょう。 司会:ありがとうございました。では前の方。 【連載】第158回芥川・直木賞の受賞者が会見<第158回直木賞受賞者の門井慶喜さんが会見> 全文2へ続く