"たまたまのホームランではない"後半戦好調キープのドラ石川昂弥 試行錯誤の末に見つけた答えとは?
頭から離れない"ある戸惑い"
オープン戦から続く不振。当時、石川昂選手の頭から離れない"ある戸惑い"が存在した。それは打球の多くがゴロばかりで、思ったように打球が上がらないことだった。ヒットは出ても、何かしっくりこないバッティング。思うようにバットを振ることができない苛立ちの中、時間だけが無常に過ぎていった。 6月下旬には二度目の1軍昇格を果たしたものの、7月7日、バンテリンドームで行われたカープ戦では、一打サヨナラという絶好の場面で板山祐太郎選手への代打を告げられた。そして見事に結果を残した板山選手。その一打をベンチで見届けた石川昂選手は自身の不甲斐なさにいてもたってもいられなかったことを覚えている。 石川昂選手「悔しいっていう思いだけじゃないですかね。ここで代打を出されるかっていう…」 チャンスの場面での代打起用もあった。7月15日、神宮球場で行われたスワローズ戦。2点差を追う8回に代打で出場。しかし結果は初球の甘い球を見逃すと2球目をひっかけて、痛恨のダブルプレー。その2日後、2度目となる2軍降格を命じられた。
決意のバッティングフォーム改造
真夏の太陽が照り付けるナゴヤ球場で再び試行錯誤を繰り返す日々が続いた。 石川昂選手「"ここはダメなのかな"とか、色々毎日思うんですけど、やってみると"それも違うな"って感じで、毎日過ごしていました」 光が差す…その時は突然やってきた。きっかけはふとした瞬間に訪れた。バットを構え、グリップの位置を少し上げた時、"あっ、これだ!"とひらめくものを感じたという。 石川昂選手「明らかに感覚が違いましたね」 本人曰く、それはグリップの位置をちょうど良い高さへの微調整。スムーズにバットが出てくる理想のバッティングフォームにたどり着いた。ただバッティング改造は並々ならぬ決意を以て始めたようだ。 石川昂選手「2軍へ2回目に落ちた時、吹っ切れたというか、一度極端にやってみようと思いましたね」
この一発はたまたま打てたのではない
バッティングの感触は上々。心のモヤモヤが晴れれば、天性のスラッガーはもう打ちまくるだけだった。8月1日、バンテリンドームで行われたタイガースとの二軍戦でホームラン2本、3打点の大暴れ。今シーズン3度目となる1軍昇格を手繰り寄せると、翌週の8日、ドラファン誰もが待ち望んだ結果が早々に訪れた。バンテリンドームで行われたベイスターズ戦、先発ジャクソン投手の153キロのストレートを強振。高々と舞い上がった打球はドラファンが陣取るライトスタンドへ。プロ通算20本目にして初となる逆方向への一発となった。 "この一発はたまたま打てたのではない" 石川昂選手は自信をもって復活弾をこう評する。そう自信をもってだ。 これからも打てない時はやってくる。それがバッティングというもの。しかし自分自身で不振を脱した経験は石川昂弥というバッターをワンランク上げたはずだ。バッターボックスで自信なさげに立つ姿はもう消えていた。 シーズンも残り1か月。試行錯誤の日々は石川昂選手にとって、そしてドラゴンズにとって必要な過程だった。いつの日か、そう思わせてくれるような活躍を願ってやまない。 がんばれ石川昂弥! がんばれドラゴンズ! 燃えよドラゴンズ! 竹内 茂喜
CBCテレビ