GENKING. が救急車で緊急搬送「線維筋痛症」の疑いか、症状・原因を医師が解説
線維筋痛症の治療法と予防
編集部: 線維筋痛症の治療はどのように行われますか? 工藤先生: 原因がわからない病気のため、線維筋痛症を完治するための治療法は確立されていません。そのため、治療目的は痛みの緩和や軽減になります。しかし、早期発見し症状が軽いうちに治療を開始すると症状が改善されるケースも多いため、早めの受診が大切です。 主な治療方法としては薬物療法が挙げられます。神経性疼痛に効き目のある薬や抗うつ薬を投与することで痛みが和らぐという患者さんが多いです。 鎮痛薬も痛みの緩和に効果がありますが、アセトアミノフェンが主成分のカロナールは効果的でロキソプロフェンが主成分のロキソニンはあまり効果がみられません。 そのため、やみくもに痛み止めを服用するのではなく、病院を受診しきちんと医師に処方された薬を服用しましょう。 痛みが少ない場合は、運動療法や心理療法などの治療を行います。薬物療法とあわせて治療を進めることも多く、医師の診断によって治療方法はさまざまです。 編集部: 治療法はどのように決まるのでしょうか? 工藤先生: 患者さんの症状にあわせて治療法が決まります。薬物療法によって痛みが緩和された・元々あまり痛みがない線維筋痛症の方には運動療法を優先、または薬物と運動をあわせた療法治療を行います。 日常生活に支障をきたすほど痛みや違和感が強い人には薬物療法を優先して行い、改善がみられたら運動療法を取り入れていくのです。 運動療法にはストレッチ・マッサージ・ヨガ・理学療法などが挙げられます。適度な運動は痛みの感覚を調整する役割を担うともいわれており、主に全身の筋緊張をほぐしリラックスさせることが目的です。 治療により線維筋痛症による痛みや違和感が軽減してきても、運動療法は続けておくと再発予防へも繋がるため適度な運動を習慣化することがおすすめです。 心理療法とはカウンセリングのことで、線維筋痛症の原因とも考えられているストレスの緩和に焦点をあてた治療法となります。 線維筋痛症はストレスが原因と断定されてはいませんが、カウンセリングを行いストレスの根源を断つことで痛みを感じなくなる人もみえます。そのため、治療法として取り入れることも多いです。 編集部: 線維筋痛症の予防方法はありますか? 工藤先生: 線維筋痛症は原因がわかっていないため予防することは難しいです。しかし下記のようなことに気をつけていると、病気の予防へつながります。 ・ストレスを溜めない ・適度な運動をする ・バランスの良い食生活を送る ・睡眠や休息をきちんと取る 上記のことに気をつけ規則正しい生活を送ることが大切で、疲れを溜めずリラックスできる時間を日々の中に取り入れることが予防方法となります。 誰しも生活の中でストレスを感じることはあるでしょう。 しかしストレスを溜め込まないように、発散できる方法を見つけておくのも予防法の1つです。適度な運動やバランスのよい食事がストレスになってしまっては本末転倒のため、ストレスを溜めすぎないよう自分に合った予防法を取り入れましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 工藤先生: 手足のしびれや全身にわたる痛みが長期的にあるとお悩みの方は、線維筋痛症かもしれません。原因不明のため異常なしと診断されることも多く、多少の痛みだからと放置している人もみえます。 しかし線維筋痛症は治療を行えば改善できる病気です。医師に異常なしと診断されても、体に痛みや違和感がある場合は違う病院や異なる診療科目を受診してみましょう。