レスリング文田健一郎「やっと銀メダルを自分のものにできた」パリ五輪で“金メダルを獲得した瞬間”に感じたこととは?
◆「すごく大切なメダルになりました」
藤木:パリ五輪の決勝戦では(ポイントを)先行しましたけれども、終盤まで僅差でした。どんなことを考えながら試合をされていましたか? 文田:終盤は、東京五輪の決勝戦のことを思い出していました。試合をしながら東京五輪のときの悔しさが湧き上がってきて、“魅力を伝える”とか“さらにポイントを重ねよう”とかも考えずに、観ていて面白くない試合と思われてもいいから、相手にポイントを許さずにしっかり守り切って“ 勝ち切ろう!”ということだけを考えました。 藤木:試合が終了して金メダルが確定した瞬間は、どんな気持ちでしたか? 文田:もっと喜んで涙を流したり、感情的になるかなと思っていたんですけど、その瞬間は本当に“ほっ”とした気持ちが大きかったというか……正しい表現か分かりませんが、自分のなかでの東京五輪が終わった気がして。 藤木:ようやく(3年前の悔しさに)区切りをつけることができたと。 文田:そうですね、やっと銀メダルを自分のものにできたというか……やっぱり悔しい結果だったし、銀メダルもできるだけ目のつかないところにしまっていたんですけど、これでやっと“あの悔しさがあったから、あの銀メダルがあったからパリで金メダルを獲れた”って思うことができたので。ずっと悔しかったし、見たくなかったぶん、今ではすごく愛着があるというか、すごく大切なメダルになりました。 僕のなかでは、今回の金メダルよりも東京の銀メダルのほうが、思い入れが強いです。 (TOKYO FM「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」2024年11月9日(土)放送より)