年末年始におすすめ! 新たな視点をくれる映画最新作3選【12月公開】
年の瀬には「このままでいいの?」とついひとり反省会をしたくなる。そんなときはぜひ劇場へ。新たな視点をくれるサステナブルな映画が、あなたの世界を変えてくれるかもしれません。 【写真】恋につまずいた時に観たい、Netflixオリジナルの恋愛映画10選
【おすすめ映画1】『PERFECT DAYS』
ヴィム・ヴェンダースが切り取る清掃員の美しい日常 公衆トイレの清掃員として働いている平山の、毎日繰り返される静かで穏やかな日々を、ドキュメンタリーのように切り取った映画『PERFECT DAYS』。『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』をはじめ、数々の名作を発表してきたドイツの名匠、ヴィム・ヴェンダースがメガホンを握る。主演を務めるのは、日本映画界で圧倒的な存在感を放ち続ける役所広司。夢のようなタッグが実現した本作で、役所広司は第76 回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞。『PERFECT DAYS』は、世界80カ国で配給が決定している。
Story 東京・渋谷で公衆トイレの清掃員として働いている平山(役所広司)は、下町・押上の古いアパートで一人暮らしをしている。夜が明ける前、近所の老女が掃除する竹箒の音で目覚める。薄い布団をたたみ、歯を磨き、髭を整えて、清掃員のユニフォームに着替える。缶コーヒーを1本買って、掃除道具がぎっしり詰まった青の軽自動車に乗り込むと、カセットテープを差し込む。お気に入りの曲に耳を傾けながら、朝日が上る首都高を走り、いくつもの風変わりなトイレを掃除する。静かに、淡々と、穏やかに。毎日を同じように生きる平山に、思いがけない出来事が起きる。そしてそれは、今の彼を小さく揺らすのだった。
毎日が新しい1日のはじまり。日々のなかに幸せは溢れている 『PERFECT DAYS』は、生きることにひとつの幸福な視点を与えてくれる。毎日同じように目覚めて、支度をし、働きに出る。アパートへ帰ると、銭湯で汗を流し、地下の居酒屋に立ち寄って、夜は寝落ちするまで本を読む。大切に育てる苗木の水やりももちろん欠かさない。特別なことは起こらない、いたってミニマルなそのルーティンには、平山の愛おしいものだけがきちんと詰まっているのだ。仕事の休憩時間には、木漏れ日に目を細め、フィルムカメラに収める。木漏れ日の揺れる光と影のように、彼の繰り返される毎日にも、小さな“揺らぎ”は起こる。「足るを知る」を体現するような平山が、静かに心を揺らすその表情から、本当の幸せの意味を教わった気がした。