米銀に「パラダイムシフト」とメイヨー氏、トランプ流の規制緩和で
(ブルームバーグ): 米大手銀に関する鋭い論考で知られるベテランアナリストのマイク・メイヨー氏は、ドナルド・トランプ氏のホワイトハウス返り咲きで銀行業界に大きな変化の波が押し寄せるとみている。規制緩和がウォール街の収益力を大幅に押し上げるという。
ウェルズ・ファーゴのアナリストであるメイヨー氏は「銀行にとって厳しい規制のサイクルが長く続いてきた。今期待されているのは、政治よりも経済を優先するパラダイムシフトだ」とインタビューで語った。
こうした楽観論を展開するアナリストは同氏だけではない。トランプ次期大統領が掲げる減税などの公約が経済成長を加速させ、金融業界に新たな追い風が吹くと期待する向きは多い。
トランプ氏が実際に選挙公約を実行に移すかは予断を許さないとの慎重な見方もあるが、一つ明らかなのは、銀行株の見通しがこれほど明るいのは過去数年なかったということだ。
メイヨー氏は「銀行が資本をどう管理するかという点での分水嶺になるかもしれない」と述べた。
米大統領選翌日の6日の株式市場では、ゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴの株価がいずれも10%余り上昇。KBW銀行株指数構成銘柄の時価総額は計2370億ドル(約36兆1500億円)増えた。
銀行株のセンチメントを改善させているのは規制緩和期待だけではない。アナリストや投資家は、トランプ氏の成長優先政策でディールメーキングや新規株式公開(IPO)の件数が増え、資本市場の活動が全般的に加速するとみている。
一部のアナリストは、銀行株の一段の上昇には懐疑的だ。ベアードは7日の顧客向けリポートで、バリュエーションの高さを理由にJPモルガン株の利益確定売りを推奨した。
メイヨー氏にとっても、銀行株に強気になることはリスクと無縁ではない。トランプ氏の政策が経済を過熱させ、インフレを再燃させる恐れがあるからだ。「異例の大幅減税や関税引き上げ、もしくは金利を急騰させるような動きがあれば、トランプ・ラリーは短命に終わる可能性がある」と同氏は認める。