プレミア12・侍ジャパン完封負けの理由は「打てなかった」だけでなく…牧秀悟や桑原将志たちが感じた台湾代表の「本当の強み」とは？
元NPB投手2人を打ち崩せなかった
決勝で日本打線は散発の4安打。前日の対戦で当初予定していた先発から急遽変更で“温存”されていた林昱珉(リン・イーリン)には、4回1安打3三振と完璧に抑えられた。その林昱珉が交代した5回、2番手の張奕(ジャン・イー)に対し、2死から坂倉将吾(広島)がライト前、桑原将志(DeNA)がレフト前に運び得点圏にランナーを進めた。しかし、2番・小園海斗(広島)はファーストゴロ。終わってみればこれが日本の唯一の連打だった。 ダイヤモンドバックス傘下3Aに所属する台湾のエース相手に苦戦することは予想の範囲内だったが、2番手で3イニングを無失点に抑えた張奕は、日本の高校からオリックス、西武に所属した元NPB選手である。3番手で登板し8回を三者凡退に抑えた陳冠宇(チェン・グァンユウ)は、DeNAとロッテで活躍した左腕。この2人に関して日本の打撃陣は、対戦国の中で他のどの投手よりも豊富なデータを持ち、対策も万全にしていた。
台湾の継投策は見破っていたが
しかも、MLBのプロスペクト(若手有望株)である林昱珉は、所属先の球数制限があることから投げても70球程度(実際に69球で交代)であることは事前に分かっており、その後に張奕と陳冠宇が投げてくることも、首脳陣は試合前からシミュレーションしていたという。 侍ジャパンの金子誠ヘッドコーチが明かす。 「試合前に、投げてくる順番も当てていましたし、(元NPB所属の)2人に関してはデータもいっぱいあった。その対策もスコアラーさんと話しながらやっていたんですが、それ以上に相手のゾーン勝負にやられてしまった。 彼らが、というか台湾代表のピッチャーは今大会、相手バッターの弱点は関係なしに自分で行けるボールをどんどんゾーン内に投げ込むというスタイルで投げている。日本のバッターも真っ直ぐに反応はできていたけれど、それがファウルになったり少し押し込まれたりしてしまった」 確かに決勝で台湾の投手たちは軒並みゾーン内に力強い球を投げ込み、ほぼストライク先行で試合を進めていた。日本に対して挑戦者の立場であっても、大一番で堂々と真っ向勝負を見せられたところに台湾チームの強さがあった。
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