新国立競技場をデザイン 建築家の隈研吾氏が会見(全文2)
2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設計画で、デザイン案が採用された建築家の隈研吾氏が15日東京の外国特派員協会で会見をした。 新国立競技場をデザイン 建築家の隈研吾氏が会見 新国立競技場のデザインをめぐっては、当初キールアーチを活用するザハ氏案が採用されたがコスト増などを理由に見直され、昨年末に隈氏と大成建設・梓設計の案が採用されることが決まった。隈氏らの案は木材を多用したデザインで「木と緑のスタジアム」をコンセプトにしている。
ザハ氏とはコンセプトがまったく違う建物
司会:(英語) 記者1:(英語) 隈:ザハ・ハディドさんの建物も、僕は素晴らしいデザインだったと思います。とてもユニークな形で、彼女の哲学が非常にあらわれてる、素晴らしい建築だったと思います。似てるっていうことに関して言うと、ザハ・ハディドさんの建物と私の建物は、皆さん見ても分かるように、まったく違う印象を与えると思います。そのディファレントインプレッションの理由は、ザハ・ハディドさんはサドル型といって、まず観客席の両側をこういうふうに大きく立ち上げています。で、われわれは、なるべく建物を低く、低く抑えようとしたので全部水平にしました。水平にすることによって、逆に水平にするっていうことは、目立たなくて良くないんじゃないかっていう人もいましたけど、私はなるべく低く、低く水平にして、周りに対して溶けた感じにしようというふうに考えたわけです。 で、それからスタジアムの大きな構成で言いますと、われわれは3段スタジアムっていう3段で造っています。で、これ3段にするっていうのが、8万人の規模だと一番観客席と、それからアスリートを近づけるので、私の調べたところだと、最初のコンペの11選ばれた案の中で、7案は3段スタジアムなんですね。なので、8万人のスタジアムを解くときは3段スタジアムというのが一番リーズナブルな解答だと思います。 で、ザハさんもわれわれも両方とも3段なんですけど、3段にしたときに観客席からサイトラインっていって全てのアスリートが見えるように計算をすると、角度っていうのは、一番適正な角度っていうのが決まってくるので、その場合もザハさんの角度は私に似てるっていうのは、それはアスリートから見えるようにすると自動的にそれに近い角度が出てきます。 それからもう1つ、細かいディテールの話なんですけど、座席の並びも東京都の火災予防条例って法律があって、その火災予防条例っていうもので決まった座席の配列の仕方があるんですね。それをするとだいたい同じような配列でしか法律が通らないので、それもザハさんは、そこも言ってるのかもしれないんですけど、座席の配列が似るのは同じ法律、それから同じ敷地の形、同じトラックの形になってるので、自動的に似てくる。そういうふうな宿命にあります。 で、そういうことにも、そういうディテールにもかかわらず、やはりわれわれとザハさんは基本的に実現しようとしてる建物のコンセプトが違いますので、大きな配置、先ほどサドル型とフラット型って言いましたけれども、基本的にまったく違う建物だ、まったく違うデザインだということは分かっていただけると思います。はい。