ジーカーがセンターピラーレスのMPV、「MIX」を本国で発売開始、日本上陸の可能性もあり
未来からやってきた“走る家”。すべての発想が既存のクルマと異なる
2024年10月23日、中国プレミアムEVブランドのZeekr(ジーカー)が2列シートの新型MPV「MIX(ミックス)」の本国発売を開始した。センターピラーレス、前席回転機構ほか革新的なパッケージングを採用したユニークなMPVだ。ジーカーは2025年に日本上陸を予定しており、コンパクトSUVの「X」と3列ラージサイズミニバン「009」から発売開始になると予想されているが、手ごろなサイズと先進的な技術を搭載した「MIX」の早期導入にも期待が持てそうだ。 【写真】ジーカーMIXをもっと見る ジーカーMIXは、Waymoロボタクシーほかドライバーレスモビリティに対応した「SEA-M(シーエム)」プラットフーム上に構築されたカプセルシェイプのMPV。ドライバーを中心にクルマを開発するという既存の開発手法にとらわれず、E/Eアーキテクチャーの本格採用による冗長性や、高い室内空間利用率(93%)を誇るパッケージングなどロボタクシーにも通じるマルチパーパスカーとして開発された。 一見するとミニバンのようだが、乗車定員5名の2列シート車。センターピラーをもたず、ドア開口部の左右間口は1480mmを実現。前後に開くユニークな電動スライドドア(サイドバイサイドドア)、前席には回転式シートを採用するなど、使い勝手をとことん追求している。クルマというより、移動できる“家”のような存在だ。 センターピラーはないが、実は各ドアには2000メガパスカルの超高強度スチールピラーが埋め込まれている。ドアを閉めるとボディと強固に締結する仕組みで、その強度は通常の自動車のボディより30%も高いという。さらにリアアンダーボディには、アルミ一体成型(いわゆるギガキャスト)が採用されており、こちらは軽量化とともにボディ剛性のアップにも一役買っている。
快適に寛ぐためのクルマ。グレードの違いはバッテリー容量だけ
インテリアの仕様はナッパレザーを多用したプレミアムブランドに相応しい豪勢なもの。前後席はそれぞれ790mmものスライド量を与えられ、さらにアームレスト付きコンソールボックスは2mもの前後スライドレールを備えており、さまざまなアレンジができる。また市街地対応ADAS(レベル2++)や日本のヤマハと共同開発された21スピーカー+総出力 2160Wのオーディオシステム、マッサージ機能付きリアシートほか至れり尽くせりの装備も目を惹く。 グレード構成は至ってシンプル。76kWhバッテリー搭載のベースモデルと、102kWhバッテリー搭載のロングレンジモデルのみ。装備はすべて共通で、駆動方式も後輪駆動に割り切られている。800Vアーキテクチャーの採用で、SOC10%→80%の所要時間は前車が10.5分、後車でも15分しかかからない(いずれもDC450kW充電器使用時)。現地価格は前車が27万9900元(約598万円)~、後車は29万9900元(約641万円)~と本国では高級車の部類に入るが、完全な新型車としてはではリーズナブルな値付けとなっている。 いわばジーカーの技術的なフラッグシップを担うモデルであり、今後欧州や東南アジアなどの富裕層に向けて輸出も開始するとのこと。現時点では日本仕様のアナウンスはないが、先進技術のショーケースでもあり、先行して上陸する「X」や「009」に次いで上陸する可能性は高い。2列シートが国内でどのように受け取られるかは未知数だが、上陸すればアルファードを始め国産上級ミニバンの強力なライバルとなる可能性は高い。 【主要諸元 Zeekr MIX】 ・全長×全幅×全高:4688×1995×1775mm ・ホイールベース:3008mm ・最小回転半径:4.95m ・乗車定員:5名 ・車両重量:2739kg ・モーター最高出力:310kW/421ps ・モーター最大トルク:440Nm ・バッテリー容量:76kWh(LFP)/102kWh(NMC) ・航続距離(CLTCモード):550km(76kWhバッテリー車)/702km(102kWhバッテリー車)