Bloomberg

（ブルームバーグ）： 銀行は近年シェアを失っていた企業向け融資の市場で攻勢に転じた。金利低下を追い風に、プライベートクレジットファンドから案件を奪い返している。

バンク・オブ・アメリカ（ＢｏｆＡ）の調査によると、今年これまでに、70件以上の案件で総額300億ドル（約４兆4000億円）近いプライベートローンが、シンジケートローンに借り換えられた。金利負担軽減を求める借り手が乗り換えた。

銀行とプライベートレンダーは、数少ないＭ＆Ａ（企業の合併・買収）案件向けの融資をめぐって熾烈（しれつ）な競争を繰り広げているが、金利低下見通しの中でシンジケートローンが盛り返している。

パートナーズ・グループのプライベートデット部門責任者、アンドルー・ベリス氏は「シンジケートローン市場は活況を呈しており、市場シェアを拡大している。市場は大きく開かれ、銀行は積極的に引き受けている」と述べた。

ここ数週間には、Ｋ２インシュアランス・サービシズ、サーコー・インターナショナル、アレゲウス・テクノロジーズの３社が、コスト低減化のためシンジケートローンに借り換えた。サーコーの新たなレバレッジドローンは、同社の金利マージンを約2.25ポイント押し下げる可能性があるとブルームバーグが報じている。

高金利のプライベートローンを組んでいた借り手にとっては、かなりの節約になる。ビスタ・エクイティー・パートナーズ傘下のアレゲウスの場合、プライベートローンの金利は担保付翌日物調達金利（ＳＯＦＲ）に8.25ポイント上乗せだったが、先月借り換えたシンジケートローンの条件は指標金利に５－5.25ポイント上乗せ、98セントでの割引発行だった。ブルームバーグの計算によると、５年間のローン期間中に7500万ドルの金利が節約できることになる。

ムーディーズ・レーティングスのプライベートクレジットグループのバイスプレジデント、クレイ・モンゴメリー氏は「ミドルマーケットのプライベートレンダーが参加できるスプレッドには限界がある」と述べ、スプレッドの低い案件ではプライベートクレジットファンドが自己資本利益率（ＲＯＥ）の目標を達成するのが難しくなると説明した。