【田辺裕信のゆる~い話】オフトレイルでラジオNIKKEI賞V! 道中でリズム良く走れたのも勝因に
レースでの位置取りや動き方は、馬の性格や特徴が影響するケースが多いんです。ラジオNIKKEI賞を勝ったオフトレイルはテン乗りでしたけど、返し馬の感じで「出していったら引っ掛かりそう」というイメージがあり、そもそも促して前に行くつもりはありませんでした。馬の気持ちに任せて、そのまま中団くらいのイメージでいましたが、ゲートの中で前掻きをし始めました。 前掻きをすることは、イライラしている、ソワソワしているなど、強いて言えば人間の貧乏揺すりみたいなものかなあ。そんな状況で、馬も地面を見る感じで、心身両面でゲートを出るバランスではありませんでした。出てからも他の馬が速かったこともあり、ついていこうとはしませんでした。 馬は集団の動物なので、ひょっとしたらついていこうと感じていたかもしれません。ただ、これはテクニックというか、レースのなかでの判断になりますが、1800メートルとか2000メートルなどのレースでは、1コーナーでペースが落ち着くことが圧倒的に多いんです。 ゲートで遅れて、無理に位置を上げていこうとすれば、加速したところでブレーキをかけることになります。そうなれば前が詰まるなど、リズムを崩す可能性が高くなってしまいます。 今回は馬に力があったからこそ、あれだけの脚を使えたわけですけど、道中、リズム良く走れたのも大きかったと思います。レース中の位置取りや動きには、それぞれの馬の性格や特徴が少なからず影響しているんです。そういうことも考えながら僕たち騎手は乗っています。 (JRA騎手)